06.5週目
揺さぶられて目が覚めた。
一応,パジャマに着替えて寝たが,目の前のすみれもパジャマだ。
ということは風呂には入ったらしい。
彼女は一睡もしなかったようで,目が腫れぼったい。
もし予定通りならば,今日,真司はすみれを抱く。
そう考えた瞬間,思わず唾を飲んだ。
すぐさま嫌悪した。
すみれは気まずそうに微笑み,また寝室へ戻っていく。
「すみれさん!」
呼び止めると,すみれはゆっくりと振り返った。
「俺,今晩,ぐっすり寝てないんです。一緒に,寝ませんか」
すみれは重たそうに首を振る。
「何もしない?」
「そんな気力ありません」
「私ももう,疲れたあー……」
すみれは今度こそ振り返らず,体を引きずりながら寝室のベッドに倒れ込む。
彼女がもぞもぞと一人分のスペースを空けた。真司もまた倒れ込む。
「真司さん,あのね」
すみれが何かを言っている。
しかし真司は眠ってしまった。
*****
目が覚めたとき,すみれはまだ眠っていた。
時計を見れば,12時間以上が経過していた。
ふと閃いた。
なぜ今まで,思いつかなかったのだろうと思う。
「すみれさん」
ごめんなさい。
真司は家を出ることにした。
******
「帰って」
目を吊り上げた暁が仁王立ちしている。
「頼む,暁」
すみれと一緒にいられないから,家を出た。
泊めてほしいと言えば,きつく睨まれた。
「一人残されたすみれさんがどんな思いしてるかさあ,考えてよ」
「俺の気持ちはどうなる!」