第一印象
「エルダよ。お前、初めて会った時、オレの事嫌いだっただろ」
「嫌いじゃなくて、大嫌いでした」
「なっ…くそ、その訂正はめちゃくちゃ傷付くぜ」
「いい気味です」
「本気で言ってんのか」
「当たり前ですよ? 生きていようが死んでいようがどうでもいい、なんて…ねぇ?」
「……あの時は…」
「しかも生気を取り戻されたと思ったら…谷底に落ちて怪我したのに、遊星さんと二人して『ロットンを倒すのが先だ』とか仰って治療を拒まれて。ふざけてんのかって思いました」
「…その数時間後にオレに告白しに来たのはお前だろ、エルダ」
「そうですね。何度かお話して、死にたがりなところ以外には惹かれてたので」
「今更それを言うのかよ…」
「今更ですみません。…ところで鬼柳さんは初めて会った時、私をどう思ったんですか」
「ん? とんだ猛獣だと思ったな」
「恋人に向かって猛獣だなんて酷い」
「恋人に向かって大嫌いと言うのは酷くねぇのか」
「大嫌いだったのは恋人じゃない人でした。私は恋人に大嫌いだなんて言いません、多分」
「ああ言えばこう言いやがって」
「そっくりそのままお返しします」
「…あぁくそ、第一印象を訊くだけのつもりだったのに」
「だったのに?」
「心が抉られたぜ」
「抉った本人で埋め合わせられる?」
「本人じゃなきゃ無理だな」
「じゃあパフェでいかがですか?」
「エルダが作れよ」
「わかってます。あ、一応言っておきますけど鬼柳さんにも埋め合わせしてもらいますよ」
「は」
「猛獣呼ばわり。傷付きました」
「涼しい顔してよく言うぜ」
「…本気でそう思ってます?」
「冗談だ」
「また傷付きました」
「悪かった。癒してやるからこっちに来い」
「はい」



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