_2007

あたしは魔女。
うさぎをかえるに変えて、ぶたをことりに変えるの。
かぼちゃを馬車には変えないけどね。
だけどまだ修行中だから魔法を使ったことはないの。
こういうことは、イマジネーションが大切なんだから。
イメージトレーニングで、日々鍛えてるってわけ。
誰にも秘密だから誰も知らないんだけど、今日は思い切って友達に話してみようと思うの。


「あのね、実はあたし、魔女なんだ」


屋上に呼び出して彼女にそう言えば、案の定ぽかんとしてた。
その顔が何だかおかしい。


「……何言ってんの」


今度は小馬鹿にしたような呆れたようなそんな顔。
そうくると思って、準備は万端なんだから。


「見ててよ」


用意したほうきにまたがって、屋上から飛び降りた。


「あっ──」


彼女の声が聞こえた気がしたけど。




──次に気がついたとき、地面は目の前だった。

(思い込みの結末は妄執の悲劇)

魔女の思い込み



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