act. 6-1



一面暗闇だった其処に、ぽわんと柔らかい橙色が揺れる。ここは何処だっけ。ああ…瞬きを繰り返すうちに視界の黒が溶けてきた。橙色の光は机に置いてある蝋燭灯火。そうだ、ここはモンスター達の世界で、ブラックカオスの家に来ているんだった。
どうやら体が横になっている私はそのままで眼だけを動かした。灯りが机上の蝋燭一本のみで、その机に向かって座ってるブラックカオスがいた。それを明かりとしてまだ作業らしきことをして、蝋燭の赤がブラックカオスにかかってる。人間とはかけはなれた肌の色でも、彼は美人と分別されるんだろう。かくいう私も彼をこうして暫く眺めて居たいと思う。二人きりの時、しかもこんなにじっくり眺められるこは役得だな。

そんな事を思って眺めていたら、眼力が注がれている分厚い本が彼によって閉じられた。こちらに振り向く、と瞬時に感づいて私は何故だか慌てて寝息を再開させた。







「下手な狸寝入りだな」

やっぱりバレちゃうか。でも、そんなに怖い顔しなくてもいいじゃない?
私は体を起こして背伸びをする。外は当然まっくら闇が下りていた。あっちの世界とリンクしてるならあっちも夜だろう。

「すっかり寝ちゃったみたい。……え」

立ち上がろうと見上げたら、私の身は立つことも座ることも出来なくなった。ブラックカオスが私の額に掌を立てるからで、その掌から光が灯されているのだ。動いてしまうとあたってしまいそうなのだ。(今中腰で地味につらいのだけども)

「ちょ、ちょ、え? 私の寝たふりがそんなに貴方を怒らせたの?」
「死にたくなれけばじっとしていろ」

この若さで死に耐えるのは御免な私は、ぎゅっと目をつむった。












「―――――――……あれ?」

瞼を開くと視界に広がるのは真っ暗なブラックカオスの家ではなく、私の家のリビングだった。私は生きていた。どこにも痛みなどの違和感はない。あっちへ行く魔法かなにかだったんだ。………よかった。



「名前ッ様!ブラックカオス様といらしたのですね!良かった〜〜…」
「ガール!みんなも」
「何処へ行かれたのかと思って心配したのですよ」
「ごめんブラマジ」

ばたばたと足音が。肩を落とす。相当心配してくれたみたい。

「一体どちらへ?」
「えーっと……」

サイマジの質問にぎくりとする。ブラックカオスをちらっとみたけれどブラックカオスは此方を向かなかった。私をエンディミオンに置き去りにしたブレイカーが、ブラマジの影の後ろでごめんのポーズをとっている。………今回だけなんだからね。

「――――――ちょっと遠出してたの。ブラックカオスが付き添ってくれたから大丈夫だったよ」
「そうでしたか。今度出かける時はお声をかけてくださいねマスター?」
「うん、ごめんね」
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