act.X 番外編
朝。目覚めるとブラマジが枕元にいた。
「んー…おはよう、ブラマジ」
「やっとお目覚めですか眠り姫。もう時刻は10時を回っておりますよ。夜更かしは美容の敵でございますよ」
「!?」
いつものブラマジじゃない!!誰!?乙女ゲームに帰れ
そう思い飛び起きてみると、隣に居たのはブラマジではなくブラマジに良く似た褐色の男だった。
「え…貴方誰……?」
「私ですか? 私は…名前ッ様の為に地上に舞い降りた漆黒の魔術師、ブラック・マジシャンですよ」
明らかに、違う!
「イービル!!此処で何をしている!」
いつものブラマジが現れた。
「ちっ、もう来やがったか」
「直ちにマスターから身を引け!愚か者めが!」
「ブ、ブラマジ、そこまで言わなくても…」
「そうだぜ。せっかくお前の就職先が見つかったって聞いて来てやったのに。それにしてもすげー人間の元に就いたんだな。“モンスターを実体化させる”、なんてよ」
「いいから早く退け!」
ブラマジの威嚇にイービルはやれやれといった風に両手をあげ離れた。
「ブラマジ、このブラマジっぽい魔術師は…?」
「奴の名はイービル。本名ブラック・マジシャン・ザ・イービル。奇術師パンドラが使っていた、私の同名扱いとなるカードの魔術師です」
「ああ!あのエクトプラズマーにされたモンスター!」
「トラウマをど真ん中で投げて来るとはな」
「ごめんなさい」
そこへふらっと現れたブレイカーが、イービルを見て酷く瞠目した。
「!!、イービル!?なんで此処にいる!」
「うわ!お前もこの人間に選ばれてんのかよ」
「ああそうだ。他に質問がないならさっさと帰れ。お前がいると俺とキャラが被る」
「はあ?お前俺より後にカード出たくせに、随分生意気言うじゃねーか。下級モンスターの分際でよ」
「効果無しのモンスターに威張られてもなァ。下級でも俺はゴールドシリーズに収録されたし」
ブレイカー、ブラマジもノーマルカードだよ。 そんな事口挟めないほど、二人の口喧嘩は激しくなってしまっていた。ブラマジが止めに入ってもやまない。このまま魔法つかって喧嘩とかやだよやめてよ。
「ブレイカー、イービル」
「「!」」
ブラックカオスがテレビの裏から姿を表した。なんだってそんな狭いところから!
「耳障りだ。他でやれ」
「はい、申し訳ありませんでした」
ブレイカーは膝を折って詫びる。いつもふてぶてしいのに眼光向けられると弱いんだ。
「チッ、申し訳ありませんでしたー…」
イービルもビビっているのを隠しきれてないまま消えていった。
ブラックカオスすげー…さすが上位に立つ魔法使い。
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