Chapter 2
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ファウストゥス暦二五六年。
トビアス・レドルンドとベルンハルド・ヴェッターグレンの葬儀から一月ほど経過した、デケンベルの月の第二〇日。新年を前にして、塩鉱都市の色彩は喪の黒から冬の氷に一変する。慣例に従い、ロダ市参事会は教皇派たるベリ家より新たな市長を選出。これにより 塩鉱都市の政局において教皇派が勢力を増す。一方、ロダの生業の要たる塩鉱を握るレドルンド家が皇帝派であることは変わらない。
かくして、帝都における皇帝の不在の隙に帝国国教会が駒を進めた採鉱都市一帯は、緊張を孕んだまま、新たな年を迎えることとなる。
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