Chapter 2




 馬の蹄が大地を抉った。
 蹴り散らかされる土塊は地に落ちる前に後続の軍馬の脚を叩き、砕け散る。
 ファウストゥス暦423年、マルティウスの月の第19日――薄暮に染まる夕刻、夜の青褐に同化する濃紺が辛うじて黄昏に色彩を交ぜこむその時刻。
 薄闇に浮き立つ白亜の城塞都市を臨むその場所で。
 同じ色彩の、同じ出で立ちの、同じ剣が。
 剣戟の奏でられるその大地を睥睨する帝都を前に交差する。


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