Epilogue


 白い羽が兄妹の頭上から舞い降りた。屋根の上のディアスが、傭兵を追いかけていったリーザに気づき、羽ばたく鳩に手のひらの餌を啄ばませながら後方を見下ろす。新しい壁と煤けた壁が混在する異民族街は、時を停めたかのように同じ姿を保つわけではないものの、街並みの背丈が高いことと道が狭いことだけはずっと変わらない。ひとが積み上げ、ひとが焼き払い、ひとが築いていく街を、滑るように鳩の群れが飛んでいった。泳ぐように旋回する鳩の、陽に閃く白の眩さに、吹き上がる風に煽られながら、ディアスは目を眇める。
 陽光に照り映える白亜が、ひとびとの息吹を包みこんだ。羽ばたきに重なる中天の輝きが、燦然と、透けるように、白亜の城塞都市へと舞い降りる。澄んだ蒼穹より溢れた光は、脈打つことをやめない地へと腕を伸ばし、掻き抱くように、掬い上げるように、慈しむように、抱きすくめていた。



[The closing curtain of“TIERRA DE NADIE/The second act”]


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