Epilogue




 ティエル革命後、ファウストゥス派とカテル・マトロナ派は、双方が相手の出方を窺っていた。しかし、どちらも動かないという緊迫は、結果として、安定をもたらす。睨み合う教会が生み出した凪のもと、大陸に平穏が訪れたわけではなく、皇帝という蓋を欠いたことによる小競り合いと覇権争いが間断なく続く。独立して間もない異民族自治領や小国は残存を懸けて策動し、アレスでは宰相の桎梏から逃れようとする少年王が機会を窺っていた。
 帝国の崩壊は大陸に静謐を導くことはなく、動乱期の延長として漣を立て続ける。

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