Chapter 3
それは手のひらに掬えるような――それこそ言葉に模せるような――確かなかたちをしたものではなかったけれど。
漠然とした飢えにも似たそれを祈りと呼ぶことができるのなら、旱の空に雨粒を掴もうとするように、ひどく現実味のない夢物語を馬鹿みたいにこの手に手繰り寄せたかったことだけは確かだった。
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