――十月十三日金曜日、それが私の生まれた日。 「なんつーか、生まれた日から不幸が憑いてるんだな」 「良く言われるし、自分でもそう思ってる」 私にとって誕生日とは、すごく憂鬱な日だ。 朝から不幸度が増して外に出ると、犬から追いかけられる、迷惑メールやチェーンメールが沢山来る、マンホールに落ちる、不良や酔っ払いに絡まれる、キャッチセールスに声をかけられ無理やり怪しい商品を買わされる、新興宗教の勧誘に合う、銀行強盗の人質にされるetc……。 「そこまでついてないと、笑えてくるぜ」 「人の不幸を笑わないでよ! もうっ!」 一流くんはソファで寝転がりながら、くすくす笑う。ソファに背にして床に座る私の髪をすいたり、いじったりする彼の顔は穏やかだ。 学校もあるのに、誕生日の日に外に出たくない、と駄々をこねたら「それならサボろーぜ」と家に来てくれた。 撮り溜めしていたドラマを見ながら、二人で学校をサボってしまった。なんて不良になってしまったんだろう、私。 「一流くんのせいで、私、不良少女になっちゃったじゃん」 「学校なんて行きたくなきゃ行かないでいいんだよ。それに去年のお前見たらなあ? 死ぬんじゃねーかって思ったんだぜ」 そういわれたら口をつむぐしかない。毎年、誕生日に死にかけるって……!! 洒落にならない。 それとさっきから、あやめと鴻季からおめでとうのメールが来ていて返信したんだけど……。 「ねえ、一流くん、さっきから着信すごいけど大丈夫?」 「雪白と鴻季と坂城だろ。うるせえ」 「わー、モテモテだー」 「こいつらにモテてどうするんだよ……」 げんなりとして、一流くんは携帯の電源を切った。ついでに私の携帯も取り上げて電源を切る。 「なんで私のも切るの!」 「ついでだ、ついで。ゆっくり過ごそうぜ。そのうちお前の携帯もうるさくなるだろうし」 顔をしかめて、一流くんは携帯を自分のポケットに突っ込んだ。そして、後ろから抱きついて嬉しそうに言った。 「おめでとう、藍。プレゼントは俺と一日過ごすってことで」 「……どうもいたしまして」 うつむいて顏は見えなかっただろうけど、耳が真っ赤なことは彼には分っただろう。 意趣返しに振り向き様にキスをして、彼の赤面を拝んだ私だった。 ∴あなたの一日をください キャラブレしてる気が!気のせいです!← 20170907 騎亜羅 [←戻る] [←main] [←top] |