※新見先輩練習で書いたもの。ーside*4‐03の小虎視点から新見先輩視点





――失礼しました。



その声が聞こえたとき、どれほど安堵したことか。



「は、ぁ……」



身体から力が抜け、リノリウムの床にへたりこむ。…泣きたい。なんだってこんなバカな話があるんだ。


――ワタシは人間が嫌いだ。元々人と関わるのが苦手でそれに色々あって拍車がかかり……今では特定の人以外と関わるのも嫌になってしまいこの「資料室」に引きこもりっぱなしだ。このままではいけないと思いつつ……もう卒業の年。


――さっきの2年はあの鬼にここの掃除を頼まれたと言っていた。鬼の野郎は一週に一度ワタシの様子を見に来る。なんでアイツが生徒会顧問なんだ? ワタシが持ち込んでる高い茶ぁ飲み来てワタシの仕事に文句付けて帰るだけなのに!タヒ!


ここの掃除なんていらない。ワタシはここで生きれて仕事が出来れば良いんだ。


「……うぅ、どうする……明日もくるだと……ああああもうううういやだああああ!!」

頭をかきむしり、人間フィルターこと自分には大きすぎる眼鏡を外す。反射してそこに映った自分の顔は酷い。眉間に刻まれたシワ、目尻に浮かんだ涙、捨てられたイヌみたいだ。


「……っ泣いてるヒマなんて、あるか…っ!」


ぐっと目に力を入れ、涙を引っ込める。明日まで提出しなきゃいけない書類に、授業には出れないから毎日の自学は欠かせない。


「たったひと、ひとりに――負けるか……っ」


ぐっと全身に力を入れ、今日来たアイツが置いていった資料を拾う。……あの鬼に頼まれたからだろうけど、でも、「ここの掃除をきちんとしたい」と言ったあたりから妙に律儀で誠実って言葉が似合いそうなやつだった。……チャラそうな金髪のくせにな。


『大丈夫?』
【――……?】


それが誰かとかぶり……ジワッと何かが胸に染みた気がした。






∴A Stray Child.
 
 
 
 






2月15日 騎亜羅
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