01

小虎は、窓ガラスが割れ、リビングにあったはずのテレビが粉々になって捨てられ……凄惨としている二階廊下を呆然としながら、見た。
またか、と呆れながら「……帰宅したらマンションが荒れている件について」と呟いた。
隣の千百合は「あら、いつもより荒れていないわ。窓ガラス程度じゃない」と平然と返す。
……「いつもより」と言うように、この櫂木荘で窓ガラスが割れるのは軽度で、爆発は日常茶飯事だし、家具が部屋を突き破るなんて週一回はある。――主に、一人の少女によって。その話は別の話で読めばじっくりと分かるだろうから、ここでは割愛する。

「小虎、おかえり」
「ただいま、田村、平城、早乙女……お疲れ」

小虎は片付けをしていた沙弥、真也、春樹に声をかける。沙弥は死んだ目で「あはははっ……まだ良い方……だからさ……」と黙々とガラスの破片を箒とちりとりで片付ける。
千百合がカバンを床に下ろし「手伝うわ」と申し出る。有難い申し出だったが、春樹が首を振る。

「いいよ、もう片付くから。それより、山月は管理人からお願いされてたことがあるんじゃないの? 203号室の連中ならリビングで待ってるよ」
「ああ、そうだ! 早乙女、ありがとうな!」
「別に。関わりたくない奴らがまた増えたよ……」
ぼそっと春樹が呟いた言葉は「忘れた!」と慌てる小虎には届いていなかった。


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bkm
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