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「それより俺はスズちゃんとデートがしたい!!」


キラキラした目で言う川村(下心ミエミエ)にスズは一蹴する。


「はぁ? 舐めた口聞かないでくれる? 僕はこれから小虎の家に行くんだからぁ」
「ジーザス!!!おい!どうしたらこんな美少女と付き合えるんだよ!?」
「いや、付き合ってねーし」
「は!!!?」
「スズは男友達だよ」
「友達だとおおお!!!? ……ん? 今、変な一字が混じったような?」



川村が頭を捻るので残酷な事実を教えてやる。



「スズは男だ。本名・成原鈴之助」
「―――!!!?」
「あ、そうなんだ。男の娘ってやつ?」


この世の絶望を見たような顔をする川村に対し、一貫として冷静な鷹野がなんだかおかしかった。


「……嘘だ……俺と同性なんて……可愛いのに……」
「ぎゃはははは!!!川村ってバカだよねぇ? ぎゃはははは!!!」



腹を抱えて笑うスズに鷹野は「トドメ刺すようなこと言うなよ。コイツはバカだけどさ」フォローになってないフォローをする。



「さて、あとはアル先生だけだけど…タイムアップまであと30分くらいだし、迷子にでもなってるかな」


鷹野が腕時計を見ながら呟く。空を見ると、夕焼けがかった雲が綺麗だった。もう一人、鬼が居るらしいが姿を見ていない。


「アルどうしたんだろうな。真っ先に来そうなんのに。誰も会ってねーのかよ」
「さぁ。ヒヨコとはじゃんけんしたけど、気絶しちゃったし、市ノ瀬は話す前にボコったから何も聞いて無いし、川村が見てないんだったら知らないよ」
「お前さぁ……男じゃねーだから、拳で語ろうとすんなよ……」
「無理でしょ。周りがおかしいんだから」


鷹野も十分……と言おうとしたが口をつぐんだ。人のことを言えないと「ぎゃはははは!! 知らない町で鬼ごっこ楽しそう!」と笑うスズを見て思ったのだ。



ぎゅる……ぎゅるー……



「あ……」
「うぉ……」


「「腹、減った……」」


鷹野と川村の腹が同時に鳴り思わず笑った。


「あれだけ走り回ればなぁ……あははは!」
「うっさいな……」
「うちこいよ。これからBBQするから」
「え!? マジで! 超食いてぇ!」


元々、そのつもりで高坂と買い出しに出ていたんだ。別に何人増えようと代わりは無い。


「おい、川村食うぞ。タダ飯だ」
「ぎゃはははは!君、がめついねぇ!」


「……」


嬉しそうに言う二人を見て……どのくらい食うのか予想して、ちょっと後悔した俺だった。







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