10
「ぎやぁあああああ!!! なんでっ、だれだああああ――――!!!」
――耳をつんざくような声に眉を潜め、現場に急いだ。
角を曲がると、悲惨な光景が広がっていた。
――釘バットを持った少年と、その下に転がる不良。
「あっ、あっ……助けてくれぇ……!」
頭から血を流した不良が俺に手を伸ばし、助けを求める。
釘バットボーイは何も、言わない。
「……」
「お、っい……」
「悪い……助けたくないわ」
不良を冷たい目で見て、首を降る。
「……っんだ…とっ!?」
「――お前、底辺高校に行った南西だろ。俺は、小菅だ。覚えているか?」
「――!!」
不良……南西の目が驚きで見開かれる。
俺は、コイツが――憎い。
「俺は、今ならお前を殴り殺せるし――」
十徳ナイフを出し、刃を出す。
「刺し殺せる」
「や、やめ――」
不良の目に怯えが走り、ガタガタと身体が震え始める。
一歩、一歩、と踏み締めて距離を縮める。
「あ……ぁ……わ、わる……か……」
不良の目の前で、ピタ、と足を止め、腰を下ろす。
「あ、ぁ…っ…うぁ……」
ナイフの切っ先を、南西の目で止めた。
「――やらねーよ。お前らと一緒にすんな」
「ぎゃあああああ――!!!?」
不良は絶叫を上げ、気を失った。
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