釘バットボーイと、驚喜を手に入れた俺。 | ナノ

08




「すーちゃん、なに考えてるの」
「んー釘バットボーイについて」


ノトは良いネーミングセンスだ。釘バットを持った少年だから、釘バットボーイ。耳に馴染む。


「むーそれよりわたしのこと考えたら良いんだよ」
「いっつも考えてるから」



静子の頭をぽんぽん叩きながら、釘バットボーイの関係性を考える。


「最初に襲われたのはうちの高校の先輩不良2人……次に西東……最後は女子中学生……わからん」
「どうしてすーちゃんが釘バットの人なんて気になるの? 好きなの? ねえわたしより好きなの?」
「……俺も分からない」


ノトから釘バットボーイの話を聞いたときから、頭から離れない。構えーとゴロゴロ転がってくる抱き締め静子の顔を覗き込む――なんで、なんて白々しい。


あの「西東」の名前が出てきたから、だろうに。



嫌なことを思い出して、忘れるために静子の額に唇を落とし「もういちゃつくわ」と脳内で宣言する。



「んーくすぐったい」
「あー、幸せだわー」




すーちゃんすきー、と嬉しそうに返され腕に力を込めた。




――幸せだ、好きなやつが、静子が笑っているなら。










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