ポタリ ポタリ
水滴の落ちる音がする。
頭の中に住んでいる僕の友人であり 親友であり 子供であり 親であり 兄弟であり 恋人であり 僕である、彼女若しくは彼が泣いているのだ。


僕が決意を固めてからと言うもの、ずっと泣いて居る。
その間拷問を受けているに等しい苦痛を味わって居るのだけれど、それよりも彼女若しくは彼への心配が募る。
僕の脳は狭いのだから、こうも泣いていては涙で溺死してしまう。1日ずっと泣くと涙は何れだけの量に成っているのだろう。


「君、君、大丈夫かい?」

問い掛ければ、大丈夫ですと返事が返って来た。僕はほっと息を吐く。
けれど水滴の落ちる音は止まらない。 ポタリポタリ ポタリポタリ


「ねぇ、いい加減に泣き止んでくれないか。君が泣いたって何も変わらないよ。世界どころか僕一人の考えも変わらない。だから、どうか泣き止んで。とても哀しいんだ。」


私は悔しいです。
彼女若しくは彼が泣きながら話始める。解るよ。君は僕をとても、唯一愛してくれる人だから

私は悔しいです。貴方は、何時だって人間だった そして正義で在ったのに。貴方は今悪に成ろうとしている。ああ、悔しい、私にそれを止める事ができないなんて。


僕の友人であり 親友であり 子供であり 親であり 兄弟であり 恋人であり 僕である彼女若しくは彼の声を聴きながら小さな街を眺める。それは僕を閉じ込め縛り付け苛んだ 世界そのものだ。


ねぇ、お願いです。どうか、考えて。貴方は義務を守る人です。貴方は手段を選べる人です。そして何よりも尊重を知る人。


「そうだね、君の言う通りだ。…… 実は、僕は君をずっと何者だろうかと考えていたんだ。」


僕を愛してくれる唯一。頭の中で息づく僕の総て。


「それが、今漸く解ったよ。」


ああ、止めて。どうか、どうか、


「さようなら。愛していたよ。」






















僕の理性。




(頭から急降下。空に遠ざかりながら近付く。最後のその一瞬 頭から決壊した君の涙が僕の目から一粒溢れた。)










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