俺の名前は明仁。 地元では《Tinker》で通っている、ごく普通の一般人だ。 Tinker、ってゆうのは、英語で何でも屋って意味。 依頼人から頼まれた事を俺達がやって、成功したら報酬が貰える。 あ、勿論、法を犯すような事はしてないよ。 庭の手入れだったり、壁のペンキ塗りだったり、お手伝いさんみたいな事をやっている。 「明仁ー、新しい依頼来たぜー」 「どんな?」 「えーっと、なになに……」 俺達への依頼は直接話しに来る人も居れば、手紙だったり、パソコンで送られてくる場合もある。 そんな中、今日パソコンに届いた依頼に目を通す友人の表情が次第に驚きに変わっていくのが見えた。 「まじかよ……」 「何なんだよ、一体」 「嘘だろ。こんなのありえねぇ……」 様子を尋ねても一向にその仕事内容を言おうとしない友人に、痺れを切らせた俺は後ろからパソコンを覗き込む。 目に飛び込んで来たのは報酬金額の桁数だった。 「え、……は?いやいや、ちょっと待てよ。有り得ないだろ……」 「報酬金額……一千万だって」 「依頼内容は!?」 「詳しい内容は直接お会いしてお話します……だってよ。なんか、怪しくね?」 「……でも、こんな滅多なチャンス、無いよな」 そう。普段から低賃金な俺達にとってこんなチャンスはない。 誰もが夢のような話だと思うけれど、こんな都合の良い話があるなんて、簡単に信じる程馬鹿じゃない。 それでも………… 「……俺が、行ってみるよ」 「まじでか!?」 「この胡散臭い依頼に?」 「ああ……。なんか分かんないけど、信じられるんだよ。大丈夫、だって」 「は……?」 「良く分かんないけど……何だか、呼ばれてる気がして」 【見えずに惹かれる不思議な力】 訝しげに俺を見ながらも、やがて、何かあったら必ず連絡入れろよ、と言ってくる友人達。 そんな彼らに、ありがとう、と一言言って、荷物をまとめた俺は依頼先へと向かうのだった。 ∴2012/02/20 [ 1/17 ] [*prev] [next#] |