21

手術は無事に終わったみたいで、しっかりと意識を取り戻した時にはあたしは元居た病室に戻っていた。
たくさんの機械に繋がれたままで身動きは取れない状態だったが、手術が終わって一度ぼんやりした意識の中でも山口先生に尋ねた言葉を思い出す。


『はん、げつばんは……?』
『……ごめん。半月縫った』


「(半月板、縫ったんだよね……)」

その半月板というのは、縫うか縫わないかによって足に荷重がかけられる時期が早くなるのだったが、どうやら損傷が酷かったらしい。
今は麻酔が効いているのか、膝に痛みは感じなかったのだが。

「(……あたま、いたい)」

ふと、枕に預けている頭がジンジンと痛む。
良くある頭痛みたいな内部からの痛みではなく、何かにぶつけたような痛みだった。
動かしにくい自分の手をゆっくりと後頭部に触れさせる……と、ある感触がした。
備え付けてあるナースコールで看護婦さんを呼ぶ。
やがて暗闇の中、懐中電灯を照らして看護婦さんが来てくれた。

「どうしましたか?膝が痛みますか?」

やはり手術の傷が痛むのか、と思っている彼女に、あたしは完全にずれている答えを返した。

「いや……膝じゃなくて、頭が」
「……頭?」
「なんか、たんこぶ出来てるみたいで……」

さっきの感触とはこのたんこぶの事で、看護婦さんが確かめに触れるとまた痛みがはしる。
本当、アイスノン持って来ますね。と一度その場を立ち去る看護婦さんを見ながらあたしは1人思った。



【21.眠れない程の痛み】



原因は頭のたんこぶ。
……何かおかしくね??



∴2012/03/28

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