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勿論、手術を早める話を断る筈もなく、09月10日には手術を行う病院で事前検査が行われる事になった。
急な展開を見せたそれに、いつもは気軽に足を運べるリハビリ室だったのだが、今日は何故だか足が重い。

「あ、美羽音ちゃん」
「アキくん……」

今日受付で迎えてくれたのはアキくんで明るい笑顔に少し心が救われる。
いつものあたしと比べ元気の無さに気がついたのか、彼はどうしたの?と尋ねてくる。
そんなあたし達の様子を見つけたのか、大久保くんも近づいてきた。

「何かあった?美羽音ちゃん」
「……大久保くん」

そんな彼もあたしの落ち込んだ様子に気が気がついたみたいで、無愛想だけど、何?と聞き返してくれた。

「手術……早まった」
「…………は?」
「9月21日、だって……」
「…そう」

結構重大な事を話したのにそんなに動揺しない彼に、あたしは思わず声をあげてしまう。

「そう、ってそんな他人事みたいに……!」
「俺はやれる事はやってる、美羽音ちゃんも頑張ってるでしょ?だったら、結果は付いて来るだろ」
「……そう…だけど……」
「なら、そんな不安になる事ないんじゃない?」

いつもの明るい美羽音ちゃんはどうしたの?、そう言ってあたしの頭にポンポンと触れた彼の表情は優しげだった。

「へぇ……暁良優しいじゃん」
「……明仁、うるせーよ」
「はいはい……美羽音ちゃん?」
「何?」
「俺も応援してる。手術終わったらお見舞い行くからね」
「…ほんと?」
「うん、約束。だから頑張るんだよ」
「…………うんっ」

それを見ていたアキくんもあたしを励ましてくれて。
沢山の人の思いやりがあたしを勇気づけてくれた事で、さっきまで胸を占めていた不安は何時の間にか姿を消していたのだった。



【13.想いを勇気に変えて】



∴2012/02/07

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