「ねえ、本当に言わないの?」
「ゆかは言いたい?」


周の言葉にうーん、別に…と答える。あたしも別に言いたいわけではないけれどだって周怖いんだもん。そんなあたしの視線に気づいたのかわからないけど周があたしを見てにっこりと笑った。…だから怖いってば。


「あ、ゆかーー!」
「わっ」


今日は青学テニス部に遊びに行くということで周と並んでテニスコートへと向かっていたんだけど前方に見えた英二がくるっと振り返って突進してきてあたしはそれをよけることもできずにドンっと衝撃をうける。(いや、よけようと思えば簡単なんだけどね、正面からだし)(よけたらこける英二を想像するとよけられないっての)


「なんでいるの!?」
「遊びに来たんだよ、それより英二…」


離して、と言おうとしたとき。右側からひゅうう〜っと冷たい空気を感じた。…やばい、なにがって英二が。英二もその空気を感じ取ったらしく二人揃ってギギギ、と重たい首をそちらに向けるとなんと周が開眼しておりました。


「…英二、なにしてるの?」
「え、あ、にゃ、」
「にゃとか言っても可愛くないよ」


ひ、ひどいぞ周…。英二は十分すぎるほど可愛いと思うんだけど今そんなことを言ったらあたしまで被害を受けてしまうからやめておこう。ごめん、英二。そんなことを考えているとぐいっと右側から引っ張られてぽすんとなにかに当たる感覚。


「(…あ、あれ…?)」


なにこれどういう展開?なぜあたし周に抱きしめられてるんですか。「にゃあー!不二ずる、」「なに?英二」「…な、なんでもないにゃ」なんて会話が繰り広げられているがあたしの意識は腰にまわされた周の腕。ちょ、ここ学校なんですが…!


「ゆかは僕のだから近づかないでね、英二」
「にゃ!?」
「…あ、あは」


言わなくていいとか言ってたくせにこんなところでカミングアウトする気ですか周くん。否定しないあたしを見て英二がまたにゃあーーー!と悲鳴を上げた。





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