「麻倉さん、どうしたの?」
「うーん…ここが解らないの」


ただいまお昼休みです。生徒たちがお昼ご飯やティータイムでお喋りに華を咲かせているこの時間、あたしはそうそうにお昼も食べ終わってハニー先輩にお誘いいただいたティータイムも断って机と向き合っております。なにやってるかと言いますと次の時間の課題がたくさんでているのを忘れててやってるんだけど最悪なことにあたしの嫌いな数学。うん、終わるかこんなもん。


「はー忘れてたなんて最悪」
「今回多いもんな」
「…うん、ほんとに」


何故か問題集半冊並もだされちゃった課題。うう、家でだったらゆっくり集中してできたのに、と机にうなだれる。前の席の子はご両親が着物かなんかの会社を経営してる御曹司くんで、それなのに威張ったりしない、でもお坊ちゃま、って感じもしないクラスメイト。いつも楽しい話をしたり旅行にいったらお土産を買ってきたりしてくれる優しい子だ。うなだれたあたしに、彼は、ははっとひとつ笑う。


「俺が教えようか?」
「わっほんと!」
「うん」


教えようかと言ってくれた彼にありがとう!と両手をあわせる。こんなこと頼むなんて悪いなとは思うんだけど、これらが次の授業までに終わる気がしない。(ほら現にもうつまずいちゃってるし)。


「今度お礼するね」
「え、まじ?」
「うん」
「じゃあさ、今度の休みに――」


そこまで言って目の前の彼は言葉を止める。ん?と思って振り向くとそこにいたのは我が部活の副部長。


「よ、よう鳳」
「…ああ」
「どうしたの鏡夜、環は?」


なんだか怖いです。眼鏡が逆光で。


「なにしてるんだ」
「あ、課題教えてもらうのよ」
「…へえ」
「あ、や、鳳も来たし俺は行くよ」
「あっ」


鏡夜の1オクターブ低くなった声にびびったのか頬をひきつらせながら、じゃあ、と行ってしまった。


「…ちょっと」
「なんだ?」
「ガンを飛ばさないでいただけますか」


もー、鏡夜のにらみは怖いんだから。せっかく教えてくれるって言ってくれたのに。まあ、でも。


「ヤキモチなんて鏡夜らしくないね」
「…」


否定しないとこが意地っ張りというかなんというか。ふふ、と笑うと笑うなとたたかれた。痛いっつーの。




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