02
仕事が終わり、たまたま茉依と二本共演してたから、
茉依と明日のために洋服を買いにショッピングモールへと私たちは向かう。
「これ可愛い!」
『え、かわいい?』
「可愛いよ!」と茉依はマリモクッションを抱いて言うけど、
マリモの顔が、副笑いと言うゲームをやって失敗したようなところにあるし、歪だ。
私には、可愛いとは言いづらい。
こういうとき、茉依と私の可愛いの基準が分かってしまう。
『それいうなら、コッチの方がかわいいよ?』
「うーん、かわいいけど、これがいい!」
『う、うす』
「じゃあ、これ買ってくるねー!」
『決断早っ!
そして、服を買いに来たんじゃ・・・』
「大丈夫!これでも、貯金してるし」
『・・・』
あの顔で貯金・・・。
絶対、使ってると思ってた、ごめん、茉依。
茉依の会計が終わり、私たちは改めて気になった服屋を
片っ端から出入りしながら、服屋を回る。
色んなお店の店内に入る度に、親子で来れば、友人、カップルでくる人もいて、椿先輩のことを思い出す。
椿先輩にフられたけど、告白する前に梓先輩には見抜かれていて、
「付き合えるといいね」なんて、まるで告白の返事がNOって分かっているように思えた。
それは、きっと、仕事の休憩時間に誰かと電話をしていて、
その人を愛おしむかのような顔や声をしていたから・・・
そして、双子だったから、片割れのことは分かるんだろう。
双子だからと言っても、私だって、あんな椿先輩の顔、見たことない、声も聞いたことない。
それから、いつも二人の話にでてくる誰かの名前。
そのときの二人は同じ顔をしていた。
「立夏ー?」
『え、は、はい!?』
「大丈夫?疲れた?」
『ううん、大丈夫。
ちょっと、悩み事があって・・・』
心配を掛けさせては駄目だ。
そんな風に思っときながらも、心情とは裏腹に言葉が口からでてしまい、
茉依は「悩み事・・・?聞かせてよ」と、私に向き合う。
正直、前から頼りになる先輩だと思った。
初対面から、「先輩じゃなくて、普通に呼んでよ」と優しく声を掛けてくれた。
そんな茉依だから、尊敬できたのかも。
『私、恋してるの』
「恋かぁ、もしかして、椿ちゃん?」
『・・・っ//』
「やっぱ?」
『ぅん//』
「そっかぁ」
「なら、お洒落しなきゃねー」と、ニコリ私に笑いかけ、服を次から次へ手にとる。
そして、私に「私がコーディネートしてあげる!」と自信満々な顔で言った。
☆☆☆
「買った買ったー!」
『ほんとう、たくさん買ったわー』
「あ!明日のために、あたし、あんたの家に泊まるよ!」
『え!?』
じゃあ、あの下着類・・・泊まるように買ったってこと・・・?
それにしても、急すぎて、部屋汚いかもしれない。
一人でこっちに上京してきたから、一人暮らしで、毎日掃除する人いないよ!
私、休みの時だけしか出来ないし・・・。
「部屋のことなら、気にしないって!
あたしも汚いよ!」
『んー・・・』
「ほら、明日のためにも立夏をオメカシしなきゃいけないし!」
『え、服選ぶだけじゃなかったの・・・?』
「女は、それだけじゃ駄目なの!
お化粧や髪、それからアクセとか・・・まぁ、いらないときもあるけど」
指折り数えて、女性に必要なものを茉依は笑って言った後、
私は『よろしくおねがいします』と笑顔で頼んだ。
End
(よーし!立夏に化粧を試したいから、帰ったからやるよ!)
(早くない!?)
(そうでもしなきゃ間に合わないからね!
一応似合いそうなもの買ったし!)
(・・・(貯金してるとか言ってたけど嘘だ!))
前 次
(4|8)