学期末を控えたある日の旧音楽室


「はぁぁぁ」

「…何ため息吐いてんですか」

「だってもう少しで試験だよ? 少年もイヤでしょ?」

「いいえ」

「なんで!? 試験だよ? テストだよ?!」

「先輩ほど追い詰められていませんから。普段からやってればそれほど大変なことじゃないんですよ」

「うぅ」

「それに僕はまだ1年ですから」

「どうせ私は灰色受験生だーい!」

「分かってるんなら勉強したらどうですか? こんなとこ来てないで」

「だ、だって…」

「だって?」

「やる気が出なくて…」

「…」

「…なんかさわやかな曲聴きたくなっちゃって、ダメ?」上目遣い

「…(うっ)」

「ダメかな?」うるうる

「…(うぅっ!)」

「やっぱりダメ?」うるうるうる

「(くっ…わざとか? わざとなのか、この人は!)」

「少年?」

「はあ…、一曲だけ」

「え?」

「僕も一応ピアノの試験があるんで練習したいんですよ。だから仕方ないから一曲だけなら弾いてあげますよ」

「わっホント? やった! ありがとう!!」

「どうせ先輩のことです、弾かなきゃ帰らないんでしょ?」

「まぁね」

「だから仕方なく、ですよ」

「ふふ、ありがとう少年!」

「…いいえ」



(その笑顔が見たかった、なんて、絶対言わない)

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