少年、留学ちょっと前
とある街中でウィンドウショッピング


「あ、アレ可愛い」

「…どれですか?」

「ん? ほら、あのネックレス。小さなわっかがふたつ混じってるの」

「……、あぁ。アレですか」

「そうそう、アレ! 可愛いねー」

「先輩、ネックレス好きですね」

「うん。なんか惹かれるんだよね」

「ふーん」

「?」

「ちょっと待っててください」

「え、ちょ、少年!?」

少年、お店に入ります

「お待たせしました。はい、どうぞ」

プレゼント、フォーユー

「え? …コレ、もしかして、否、しなくても、え?」

「受け取ってください」

「いやいやいや! どうしたの、急に!?」

「先輩がこのネックレスを気に入ったみたいだったので」

「確かに気に入ったけども! 買ってほしくて言ったんじゃないよ!?」

「僕があげたいと思っただけですから」

「ええー」

「…素直に受け取ってください。嬉しくないですか?」

「や、嬉しいよ? スッゴく嬉しい! …けど、でもね? あの、チラッと見えたんだけど、結構な値段だよね…?」

「あぁ。大したことないですよ、このくらい」

「何言っちゃってんの、もう! 学生にしたら絶対結構な値段だって!」

「なるほど。つまり学生が買えるような物ではないから遠慮してるんですね? しかも僕はバイトした事ないから親の金だし(バイトしとけば良かった)」

「う? うーん、まぁ代々そんな感じかな?」

「ですが、先輩。コレはもう買ってしまったんですよ。先輩が貰ってくれないとゴミ箱行きになるんですよ?」

「ええ!?」

「僕は付けませんから(他の人にあげるなんてないし)」

「あーそっか…」

「どうします?」

「うー」

「先輩?」

「う゛ー!」

「(なかなか強情だな)」

「(ど う し よ う!)」

「(これは言う気なかったけど、仕方ないか)…先輩」

「うー! ん? なに?」

「少し怖い事言っていいですか?」

「え、何その急な話題転換?」

「関連はありますよ」

「あぁ、そうなんだ。なになに?」

「僕はあとちょっとで留学します」

「うん」

「先輩と離れ離れになります。それを選んだのは僕だし、迎えに行くのも本当だし、…先輩が待ってくれるのも信じてます」

「うん」

「でも僕は、…臆病、だから。何か先輩を繋ぎ止めておく物がほしいんです。僕のだって、分かるような目印を付けたい。離れないように、忘れないように何かを残したい」

「……」

「このネックレスを見たら、先輩は僕を思い出すでしょう。毎日じゃなくても身に付けてくれたら、僕の事を考えてくれるんじゃないかなって思ったんです」

「…少年」

「だから、先輩に受け取ってほしいんです」

「…っ、もう! そんな顔でそんな事言われたら受け取らない訳にいかないじゃん!」

「(あ、やっと折れた)」

「どこが怖い話なの! むしろ可愛いっての!」

「取り方によっては怖いかと。ってか、先輩。顔が赤いですよ?」にやにや

「あーもう! いいでしょ、別に! 嬉しいんだから!」←照れてます

「喜んでもらえたなら良かったです」

「でも貰うばっかじゃ嫌だから…、少年、コレあげる!」

「え、コレ、先輩の付けてたネックレス?」

「そう! 外したてほやほや!」

「(その言い方はどうだろう…)」

「私のだから少年が付けるには可愛いすぎるだろうけど。でも、お返ししたいし、…私だって、少年に忘れられたくないし。…、御守りみたいに思って貰って?」

「…」

「あ。人が使ってたのは嫌? だったら、」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。大事にしますね」

「う、うん。私こそありがとう。…大事にするね」

プレゼント交換


20121115


ちなみに、先輩が貰ったネックレスはシルバーの細いチェーンに指輪みたいな小さめなわっかがふたつ付いてる物で。少年のは焦げ茶色の皮の紐にくすんだゴールドの王冠が付いてる物です。


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