学生な2人
「なんか、レールみたい」
「はい?」
「ピアノがね、レールみたいに見えて」
「……先輩、寝てるんですか?」
「起きてるよ、失礼な!」
「なら何で寝惚けてるんですか?」
「寝惚けてません! あのね、少年はいつも正面から見てるから分かんないかもしれないけど、横から見るとピアノってレールみたいに見えるんだよ」
「鍵盤が、ですか?」
「あぁうん、そう。鍵盤がね」
「(…鍵盤がレールねぇ)」
「まっすぐ繋がってて、ちょっと段差があって、ガタゴト音がして、あの音が不思議と眠気を呼び寄せるし。うん、やっぱり似てるよ」
「先輩の感覚はよく分かりませんが、いつも先輩が寝てるってことは分かりました」
「あ…。で、でも、それは気持ち良いからで、ね?」
「言い訳はいいですよ。だいたいよくあの音量の中で寝れますね」呆れ
「それは自分でもちょっと思う、けど。少年知ってる? ピアノに凭れてると音が体に響くんだよ。あ、それも電車と似てるね」
「……」
「あのビリビリする振動とキレーな音と。すごく素敵ね」
「…そうですか」
「なにその反応? 本当に少年のピアノはキレイなんだよ」
「先輩はそればっかりですね」
「本心だからね」にっこり
「……」
ずっと続くもの
「少年のピアノも電車も好きー」
「…もういいですから」
こういう意味の無い、くだらないことばかりを話していたんだと思います。そして少年は先輩の笑顔に負ける(笑)