学生な2人


「そういえばさ、なんで少年はここでピアノ弾いてるの?」

「(また今更そんなこと…)」

「音楽科の棟からだと遠いじゃん。そっちにもピアノ練習室あるんでしょ?」

「ありますよ」

「なら、わざわざなんで?」

「………」

「あ、もしかして私に会えるから?」

「そんな訳ないでしょう」ズバッ

「否定するの早すぎ!」

「本当のことですから」

「もー!」ぷりぷり

「先輩、変な顔になってますよ」

「なにー!…って誤魔化されないからね!」

「それは残念」

「少年って本当に私のことバカにしてるよね! いいけどさ!」

「…(いいのか)」

「それより! なんで? なんでこの音楽室を使うの?」

「………」

「なんで?」

「……広いから」

「え? なに?」

「ここの方が広いからですよ」

「え、そんな理由?」

「そうですよ、悪いですか?」

「ううん、そうじゃなくって! 練習室って狭いの?」

「狭いですね」

「どのくらい?」

「ピアノがギリギリ入って、ギリギリ座るところがあるってくらいです。あ、こんなグランドピアノじゃなくってもっと小さいピアノですからね」

「小さいって?」

「見たことありませんか? 背が垂直で、壁にくっつけて置けるピアノ。アップライトって言うんですけど」

「んー?…名前は知らないけど見たことはあるかなー。てか、本当にそんなんしかないの? すぐそこに壁って感じ?」

「そうですよ」

「うわーそれは嫌かも」

「嫌ですよ。息が詰まって練習にならないし」

「そっかそっかー」

「逆にここは広々としてて、しかも誰も来なかったから静かですし」

「うんうん」

「まぁ今は誰かさんがいるから静かとは言えませんがね」

「なるほどー…って軽くイヤミ言わないでよ!」

「別に先輩が、とは言ってませんけど?」

「ここに来る人なんて少年と私くらいでしょ! そのくらい分かるんだからね!」

「…クス」

「な、なに笑ってんの?」

「いえ、先輩にもイヤミ通じるようになったんだなーと思っただけです」にっこり

「キィーッ! ムカつく! 少年のへそ曲がり!」

「上等ですよ」



まだまだ素直じゃない演奏者となんにも知らない聴き手


ちなみに演奏者の言ってる練習室はさんの知ってトコを参考にしてるんで、普通の学校はどうなってるか分かりません…すみません

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