なんちってラブストーリー




ハロー、ハロー。
みんな大好き(だよね?)イナズマジャパンの人気者、不動明王のハニーこと名字名前です!
みんなに私は明王くんのハニーなんだよって自慢すると決まってその場に居た明王くんは違う、違うって言うけれど…きっと照れてるんだと思います。全く、可愛いなあもう!


さて、今日は珍しくイナズマジャパンの練習はお休み。
みんなそれぞれ自由に行動しています。
他のエリアに遊びに行ったり、お買い物に行ったり…。
まあ、ほんの一部の人は休日にもかかわらず練習に燃えていたりもするけれど…。大体の人はボールには触れず、休みを満喫してるみたいです。

私も明王くんと二人きりでラブラブしながら遊びに行く予定なんです!
そのために秋ちゃん達のショッピングのお誘いを断りました
…私だってあんなに可愛らしい女の子達の頼みを断るのは辛かったけれど、仕方なかったんですよ!
たまには私も明王くんとラブラブしたいんです!ごめんね、秋ちゃん達!また今度お願いします!



まあ、そんな訳で私は人気の無い宿舎二階の廊下、明王くんの部屋の前に居ます。
情報収集の結果、明王くんは未だ朝ご飯を食べにすら来てないとの事だったので明王くんを呼びに来ました。


「あきおくーん朝ご飯出来てるよー?」
「朝ご飯食べちゃうよー?あきおくんのアレとかアレとか…とにかく色々みんなにバラしちゃうよー?」


扉越しに話し掛けてもうんともすんとも言わない明王くん。おかしいなあ部屋に居るって聞いたのに
普通なら明王くんが飛び出してくるはずなんだけどなあ、汗びっしょりかきながら
もしかして、もしかしなくても…明王くん、寝てるんじゃ…


入っていいかなあ、入っていいよね…?


普段は明王くんが必死で死守してる明王くんだけのスペース。
私が入ろうとすると明王くんが全力で阻止をするから一度も入った事が無い開かずの部屋

…今なら入れるんじゃ


いや、あの違うんです!
朝ご飯は食べなくちゃいけないし早く起こさないと遊びに行けないし!
断じて、断じて明王くんの寝顔鑑賞したいとか部屋を見たいとかそんなのじゃ無いんです!ほら、起こさないとダメだから!これは義務なんです!お邪魔しまーす!


ガチャッ



う、薄暗い…。
しっかりと閉めきってあるカーテンが日光を完全に遮っていて、私が開けたドアから差す光が唯一の明かり。
家具が必要最低限しか無い、さっぱりとした部屋
部屋の隅や机の上にはお菓子やカップ麺のゴミが散らばっています。…掃除したい。


部屋の奥の方に視線を動かすとベッド。ベッドにはこんもりと丸い膨らみが

明王くんが寝ている!

明王くんを起こさないように忍び足でベッドに近寄ります。お菓子か何かを踏んでいるのか足元からバキバキと何やら音が聞こえますが知ったこっちゃありません。
頭まで被った布団をそっと、静かに剥がします


閉じられた目蓋
ゆっくりと上下する胸
半開きの口から零れ出る吐息


とんでもない色気です
破壊力抜群です
名前もビックリです

なんなんでしょうか、この悩ましい表情…!
いつものように冷たい目付きでもなければ鋭く尖った意志すら感じません
完全に無防備な不動明王です

布団をいきなりとられて肌寒く感じたのか身動ぎをして小さく唸り声をあげる明王くん
私の理性はギリギリ保たれています。
このまま普通に起こしてしまうのを躊躇うくらいです。
とりあえず、このとても貴重な明王くんを保存するべく携帯を手に明王に急接近した瞬間


「てめェ…何してんだよ?」


バシッと手首を掴まれて慌てて携帯の画面から目を離すと
そこには私の手首を掴んで目を細める明王くん。

起こしちゃったよ…!



「お、おはようございます」

「…名前」

「朝ご飯出来てますよ食べますか?あ、それとも」

「なんで俺の部屋に居るんだよ?」


眠りを妨げられて不機嫌なのかいつもよりぐっと声が低い明王くん。
だらだらと冷や汗が頬を伝います
まさに絶体絶命。ど、どうしよう…!


「…おい」

「はいっ!何でしょうか!」

「今、何時」

「九時くらい!…多分」

「あ、そ」


素っ気なく返されてどうしようかとおろおろしていた私。
とりあえず何か話さないと、と思った瞬間体が引っ張られてベッドに倒れこんでいきます

言葉を発する暇も無く、気づいたら私は明王くんに覆われるような形で抱き締められていて。目の前には明王くんの端整な顔立ちが。
普段は明王くんはそんな事しないしで免疫が無い私は慣れない体温と感触に思わずカッと顔が熱くなってしまいました。

そんな私をまじまじと見つめると明王くんはニヤリと厭らしく顔を歪ませた。


「名前ちゃんも女の子なんだなァ?照れちゃってかーわいい」

「っ明王くん、襲うぞ!襲っちゃうぞ!」

「襲う、ねぇ…出来るのならやってみればいいんじゃねぇの?」


生意気な明王くん
抜け出そうとじたばたもがいてみても明王くんの腕や足がしっかりと私の体に密着していてまるで抵抗できません。
私が諦めたのを悟ったのか明王くんは唇を歪めて薄く笑います。な、なんか悔しい…!


「抵抗はしないのかよ?」

「…っう、」

「じゃあ遠慮なく食べてもいいんだよなァ?」



いつの間にか私に馬乗りのような体制で跨っていた明王くん。
たたた食べるって、アレだよねその、大人の階段を…!
起こしに来ただけなのにとんでもない事になっちゃったよう…!



「あ、明王くん…!」

「…なーんて、」


明王くんはそう呟きながら私の上から身を引き、布団に潜り込みました

あ、あれれ…?

いきなり展開が変わってビックリしていると今度は私の隣に寝転がっている明王くんが私の方に顔を向けてきて…私の心臓はばくばくと忙しく脈を打ちます。か、顔が近い!


「やっぱ、やーめた」

「…へ?」

「名前ちゃんは襲われるとでも思ったのかよー?」



してやったりな顔で笑う明王くん。か、からかわれた…!
あ、明王くん覚悟しなさいっ!そんな無防備にしてると―――


「じゃあ、俺はまた寝るから」

「っええ!?ちょっと待ってよー!あ、明王くんっ!」

「ンだよ、まだ何かあんの?」

「あの、離してほしいな、なんて!」


寝る、とか言ってるくせになんで抱き締めるんですか明王くんっ!


「あァ?いいじゃねえか別に、抱き枕の代わりだってのー。」



ま、待て明王くん!私と遊びに…!
慌てて口を開こうとしたけれど、既に明王くんはすっかり寝てしまっていました。
あああ…私と明王くんのデートの予定が…



明王くんが目覚めて、ところで何してんの?と訪ねてくるのはまだ先の話です






―――――――

りく様へ
明王の性格が、迷子

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