放課後ブレイクタイム
キャラがバラバラ。
なんだかんだ言っても、喧嘩する程仲が良いってホントの事だと思う。
放課後ブレイクタイム
すっかり遅くなってしまった。
授業の中で完成させる事が出来なかった美術の作品を居残りで必死こいて完成させた私。
さて帰ろう、そう思い美術室の窓から外の様子を伺う。既に日は沈み、ちらほらと星が姿を表していた。
絶対コレ外寒いよなあ…
軽く憂鬱に浸りながら、帰る支度をする。
周りには数人まだ完成していない方々が居て、私を見るなり終わったの!?とか、ずりい!俺も帰りてえよ!とか言ってきた。
あっはっは、まあ精々頑張ることだ。
そいつらに対して高笑いで返し、颯爽と美術室から去った。
「うっわー…。」
外へ出た瞬間。冷たい空気に包まれる。
すっごい寒い。夏の制服で登校した自分を恨んだ。私のばあか
生徒玄関でうろうろしててもしょうがない。
意を決して私は帰宅するべく校門を目指し、歩を進めた。
少し歩いたくらいに、後ろから肩を叩かれた。
誰だろうと思い、振り返ると後ろには部活が終わったのか制服姿の精市。
「やあ、今帰り?」
「うん。さっきまで居残ってて」
「ふうん?…そっちに丸井は居たかい?」
「あ、うん。居た居たー…多分まだ残ってる」
「そうか…ふふっ、丸井、たるんどるぞ…なんてね」
なんて冗談を言いつつふんわりと綺麗に微笑う精市を見て思わず私も顔が綻んだ。
居残りのせいで苛々していた私はどこへ行ったんだか。なんか精市の顔みたら苛々なんて吹っ飛んでしまう。全く、どんな魔法を使ったんだろうか精市は。
「名前?どうしたんだい?」
「まさか、魔法使いでもあるまいし……んん!?」
悶々と精市の不思議について思慮していると、突然両頬に圧迫感が。
驚いて下を向いていた顔を無理矢理上げると、そこには相変わらず笑顔の精市が。
笑顔で、笑顔で人のほっぺたをサンドイッチしてるよコイツ。うん、笑顔で。
ニコニコしながら両手で私の頬をいじくりまくりながら「ふふっ、百面相」とか言ってる精市。こいつは何がしたいんだ。
「ひょ、ちょっと!なにするのは!」
「はははっ!変な声!」
ダメだこいつ。笑ってばかりで会話が成り立たない。
言葉の代わりにじとーっと精市を睨むと今度は手を私の頬から離し、それはそれは盛大に笑いはじめた。
「は、は…ははははっ!名前、変顔過ぎるよ…っ!」
「は!?ちょ、誰が変顔だって!?」
「だって頬っぺた潰れた顔で睨みあげてくるだなんて…あははははっ!」
うっすらと涙を浮かべながら精市は言った。
おーい、私、一応アンタの彼女なんですけどー?彼女の面見て笑うとか、彼氏としてどうなんだ…!
とか言ってもきっと今の精市には通用しないだろう。そう思った私は精市を置いてさっさと帰る事にした。
「ねえ、俺を置いてどこに行くつもり?」
なんでそうゆう時だけ構ってくるんですか、精市くんは!
さっきまで笑い泣きしてたくせに、今はきょとんとした顔で私を見てくる精市。
…切り替え早すぎじゃないかい?
「私は寒いの。疲れたの。早く帰りたいの。分かる!?察しろよ、ばあか!」
「はいはい、笑ったのは悪かったよ…だからいじけないで?ね?」
「…誰がいじけてるもんですかあーっ!もういい!帰るんだから!」
私が出せる最大のスピードで校門までそりゃあもう、全力でダッシュする。
でも運動部でも無い私。校門に着いた頃にはすっかり体力を消耗しきっていた。
疲れたし、しょうがないから精市を待ってやろうか。
精市を待ってる間ぜえぜえ、と空気を肺に取り込んでいると後ろから身体に手を回される。
こんな事をするの、精市意外ありえない。
…つまり、私…精市に抱きつかれた…?
精市のゆっくりとした息遣いがダイレクトに伝わる。ヤバい、これは結構ヤバいよ私。
どきどき、心臓が忙しなく鼓動を繰り返す。
私が突然の事に声さえ上げれずにいると耳元で聞き覚えのある声がゆっくりと私の囁いた。
「ふふっ…つーかまーえた」
「やっぱ俺と帰りたいんでしょ?わざわざ校門で待ってるだなんて…」
「それにしても名前は素直じゃないね?帰りたいなら素直に言えば良いのに…あ、もしかしてツンデレかい?」
「くたばれええええええっ!」
放課後ブレイクタイム
(私のときめきを返せ!)(そんな私はまた気づいたら笑顔になっていた。)
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