「すみません、コンビニってこの近くにあります?」
大学からの帰り道。
突然男性に声をかけられて驚いたが、用件が分かって私はほっとした。
「まっすぐ行って、二つ目の交差点を左に曲がればありますよ」
「ありがとう。ねぇ、案内してもらえないかな?」
「あ、曲がってからはすぐですよ?」
「案内してもらえないかな?」
「・・・え?」

気づいたら男性は目の前と呼べる程近くに居て、少し驚いた。
(まぁ、すぐ近くだし・・・いっか)
コンビニの方へ体の向きを変えようとすると、急に腕を引っ張られて、男性との距離が開いた。
私の腕を掴む手をたどると、そこには綺麗な髪色の彼が居た。
(うそ、国府田さん・・・?)
「500mかそこらだよ。一人で行けるでしょ?」
「・・・なんだよ、お前」
「行けるよね?」
「・・・ちっ」
そうして男性は背を向けてコンビニとは違う方向へ歩いて行ってしまった。

「コンビニそっちじゃないのに・・・」
「ちょ、ほんとに分かってないの?君今危ない所だったんだよ!?」
「国府田さん、こんな所でどうしたんですか?」
「あのねぇ!少し人の話を聞こうか!!」
声を大きくした国府田さんは、私が少し驚いて肩を揺らすと慌てて口をつぐんだ。
「飲み物買ってくるから・・・ちょっと待ってて」


(国府田さん、久しぶりに会ったけど変わってないな。元気そうでよかった。ここらへんよく来るのかな・・・今日は、わんちゃん一緒じゃないんだな)
「百面相して。何考えてたの?」
「わ!」
目の前にお茶のペットボトルが差し出され、ぼぉっと前を見ていた私は驚いて声を上げた。
「国府田さんが元気そうでよかったなって」
「・・・君、さぁ、馬鹿正直とかって良く言われない?」
「あ、言われます!なんでも顔に出るって!」
「褒めてない。褒めてないから嬉しそうな顔しないの」
「はーい?」
「・・・はぁ、毒気抜かれそう」
ため息をつくように何か呟いた国府田さんは、すっと立ち上がると上からのぞき込むようにして私に顔を近づけた。

「このまま俺が無理矢理君をどこかに連れ込もうとしたらどうするのって言ってるの」
「・・・国府田さんは、そんな事しません」
「それはどうかな?君、俺の事何にも知らないでしょ?」
「たしかに、知りません。でも国府田さんはそんな事、しません」
私が目をそらさずにそう言うと、国府田さんは今度こそ大きなため息をついた。
「はぁ・・・こうやってSPの彼らみたいな親衛隊が出来るのね」
「親衛隊??」
「つまりね、世の中悪い人も居るんだから、気をつけなさいって言いたいワケ。分かるかな?お嬢さん」





仮面に似せた素顔
呆れたように言いながらもその目が優しいから
やっぱり彼は、悪い人ではないと私は確信するのだ









*an afterword
配信前に書いてみたかった!初国府田さんです。
そらさんルートでずっと出てきていたけど長かったですねぇ・・・。
口調とか、キャラとか、おかしな事になっているかも知れませんが国府田さん本編配信前という事でお許し下さいませ!

back

home

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -