――彼女は、よく振られるコだった。

男運が悪いというか男を見る目がないというか(たぶん両方)、比較的頻繁に彼氏が変わる彼女とは、同じ数だけ訪れる別れの折りに会っていた。
彼氏が出来たという報告はしてこないクセに別れるたびに呼び出される俺は、彼女にとって都合のいい男なんだろうなと思わなくもないが、本当に好きだったと涙ながらに語る彼女を見ると何も言えなくなる。

「なんて言われたの?」
「何考えてるか分からないって」
(アキちゃんは比較的分かりやすい方だと思うんだけど・・・)
「あ、そのお酒飽きちゃった?残り俺が飲むから別の注文しなよ」
「・・・じゃあそうする」

新しいお酒に口をつけながら気に入ったらしいつまみを続けて食べていた彼女の手が一瞬止まったので、全部食べていいよと言うと少し驚いたような顔をする。
「・・・わがままで、めんどくさいって」
(アキちゃんのわがままなんて可愛いもんなのになぁ・・・)
これも好きそうだな、と新しいつまみを注文してから再び彼女と向き合う。
「そらくんは・・・めんどくさくないの?」
「全然。全く。これっぽっちも」
本心からそう言ったのに、それを聞いた彼女は顔をしかめた。
(むしろアキちゃんと居る時の方が素な気がするけど。この様子じゃ言っても信じてもらえないんだろうな)
――他の男よりは彼女の事を分かっている自信があるのに、彼女と過ごす時間はこんなに心地良いのに、どうして俺じゃ駄目なんだろう。絶対に彼女を泣かせたりしないのに。

「期待が重いって。本当に俺の事好きなのかって」
「それってさぁ?その男の器が小さいんじゃないの?」
「本当は・・・別に、好きな奴が居るんじゃないかって」
「え!?それ初耳なんだけど・・・!!」
一度くらい自分にチャンスが巡ってきてもいいのに、と思った矢先のライバル出現に頭が痛くなる。
しかしそのライバルの事を考えているらしい彼女はとても好きな人の事を考えているとは思えない、渋い表情をしていた。

「えーっと・・・?アキちゃんは、思い当たる人が居る、んだよね?」
「居ない!」
「いやいや、それ逆に居るって言ってるよね?」
「言ってない!好きじゃない!!」
どうしてそんなにかたくななのか分からないが、だったら自分がアプローチしてもいいのだろうか。
彼女の逃げ場でありたいけれど、自分の気持ちを言えるチャンスを逃してはいけないんじゃないかという焦りもある。

「好きな人が居ないなら、俺のこと、好きになってくれない?」
「だから好きじゃないってば!!」
想像以上のスピードでの拒絶に一瞬固まるが、彼女の赤い顔を見て我に返る。
(だから・・・?ちょっと待て俺冷静になれ俺。俺の事が好きって聞こえるなんて・・・都合のいい解釈だよな・・・?)
しかし彼女は顔を赤くしたまま、居心地悪そうに目をそらすだけ。
(うっそ・・・まじで?)
信じられない気持ちで彼女を見つめていると、彼女は不貞腐れたように口を尖らせている。

「気のせいって事にしたいの。・・・だって。そらくんと別れちゃったら誰に相談すればいいの?」
「俺にすればいいよ!」
「はい?」
「アキちゃんの恋人も親友もお兄ちゃんも。全部俺にまかせて!」





彼と彼女の積日
これが最後の恋だったらいいのに、とつぶやく彼女に
そうしてみせるよ、と口には出さずに約束した
――時間をかけて、証明するから









*an afterword
何がしたかったのでしょうか・・・・・・思い浮かんだ最初の一文を頼りに書き進めたのですが、完全に着地点を見失いましたOTL
そしてまたそらさんが苦労しているっていう・・・そらさんなら、受け止めてくれると思って(о´∀`о)

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