彼女とストレッチ


櫂の自宅にて。


「櫂〜まだぁ〜?」

「何言ってるの。まだ1分しか経ってないよ?」

彼女は今骨盤矯正のストレッチ中。
ぼーっとするのは好きなクセに、何もしないでじっとしていられない彼女は5分が待てずに焦れていた。


「かーいー・・・」

「1分30秒だよ」

「つまんない〜」

「でも今ちょっかい出したら怒るでしょ」

「おなかすいたぁ」

「みうが伸びてる間に用意してこようか?」

「ヤダ」

「・・・2分経過」

「なんか面白い話して!」

「そうだなぁ・・・みう、“浮き足立つ”ってどういう意味だと思う?」

「え〜・・・ワクワク、ソワソワすること?」

「不正解〜」

「・・・」

予想通りの答えと、分かりやすく機嫌を損ねた彼女に俺は小さく笑った。

「みうが言ってるのは“浮き立つ”。“浮き足立つ”は逃げ腰の状態の事なんだって」

不機嫌を主張するように口をぎゅっと結んでいた彼女だったが、興味をそそられたのか目が輝いてきた。

「他にはないの?」

「そうだなぁ〜・・・“檄(げき)を飛ばす”のゲキは激励のゲキとは違う字で、人を励ますんじゃなくて行動を促す文書の事なんだって」

「へぇ〜!!」

「“確信犯”は悪い事と知っててやってる人の事じゃなくて正しいと信じてやってる人の事だよ」

「ふむふむ・・・」


「はい5分。続きは明日ね?」

まだ聞きたそうにしていた彼女を振り切ってキッチンへ向かう。

(明日までに勉強しておかなきゃ・・・)


――彼女にとって完璧な王子様で在る為に。
(俺は決して努力を惜しまない!)

 
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