彼女とネイル


本番前の楽屋にて。


「・・・おい、くせぇから楽屋で爪やるなって言ってるだろ」

「ごめんねがっくん。ちょっと欠けちゃったから本番までに直さないと」

「なんでそんな事までお前がやってるんだよ」

「なんでって言われても・・・手先が器用だから?」

「まさか持ち歩いてるワケ?」

「もちろん!いつも車に積んであるよ」

「ハァ!?お前、ネイリストにでもなるつもり」

「みうの専属なら喜んで〜」

「・・・」

「みうの仲良しのネイリストさん、お店開く事になって、地元に帰っちゃったんだよ」

「だからってなんでお前が」

「知らない人にやられるの嫌だって言うから」

「お前、転職でもしたら?」

「やだよ。音楽好きだし、これ以上みうの傍に居れる職業なんてないもん」


「櫂!ここやっぱりこっちの色がいい!」

「いいね。そうしよう!」

「・・・同じ色に見えんだけど」



雅楽の言いたい事も分かるけれど。
でも俺はミュージシャンだって彼女のネイリストだって恋人だって、やめる気はないんだ。

 
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