彼女と偏頭痛


居酒屋にて。


「ん〜・・・」

今日は久し振りにメンバーだけで飲みに来た。
最初の飲み物を注文しようという所でいつもはとりあえずビールの彼女がメニューから目を離さない。

(具合でも悪いのかな・・・?)

今日一日の彼女を振り返るもさっきまで変わった様子はなかった。


「と・・・とりあえず梅昆布茶!!」

「はぁ!?シメもシメじゃねーか」

彼女の発言にみんなが目を丸くする。

(本当にどうしたんだろう・・・)

彼女を見ると、わずかに眉間にシワを寄せていた。

「やっぱ、びー・・・」

「はいはい、みう、今日はお酒やめとこうね」

みんなに合わせてお酒を頼もうとする彼女を止めて梅昆布茶と水を頼む。

「お前はこいつの母親か!」

「えー、彼氏だけど?」

「んなこた分かってるんだよ!」

まだ乾杯もしていないのに雅楽はテンションが高い。

(雅楽も嬉しいんだ。メンバーだけって久し振りだもんな)

隣に居るもう一人の今日の飲み会を楽しみにしていた人を見ると、案の定不機嫌そうな顔をしていた。

「みう、なにか甘いもの頼む?」

「だからシメじゃねーか!」

「母親っていうより、孫の機嫌をとるおばあちゃん?」

「瑠禾、せめておじいちゃんに・・・」

俺の立場と性別と年齢がぐちゃぐちゃになっている所に飲み物が運ばれてきたので、とりあえず乾杯をした。

(昼間は天気良かったけど、そういえば夜遅くに雨降るって言ってたっけ)

みんながフードメニューやら他に気をとられている隙に、彼女に水と薬を渡す。
彼女はますます顔をしかめたけれど、彼女の頭痛が和らぐよう軽く頭をもむと、気持ち良さそうに目を閉じた。


「あ、コラ、こんなとこでまでイチャついてんじゃねーぞ!」

「いいじゃん彼氏なんだしー。がっくんうらやましいんでしょ」

「はぁ!?んなことあるか!」

「俺はうらやましい。櫂どいて」

無理矢理俺と彼女の間に入ってきた瑠禾に文句を言おうと口を開きかけたが、彼女が楽しそうに笑っているので、今日だけは隣を譲る事にした。
(みうが笑ってくれるならお母さんでもおばあちゃんでも・・・いや、せめてお兄ちゃんくらいにしてくれないかなぁ?)

 
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