second contact


(早まった、かな・・・)

ホテルが決まっていないという外人さんを家に誘うと、思いっきり眉間にシワを寄せて「はぁ?」と言われてしまった。
(いや、うん、確かに・・・数時間前に出会った人を家に入れるのはどうかと自分でも思うけど・・・)
「ホームステイ!みたいな??」
「・・・日本という国は相当平和ボケしているらしいな」
「なんかすみません」
「特別綺麗な所でなくてもかまわないから、どこか」
「あ!よかった!ちょっと散らかってるんですよ」
「・・・もういい。自分で探す」
「ま、待ってください!」
早くも私に背を向けた外人さんの服を掴んで引き止める。
「なんでお前はそんなに必死なんだ」
振り返りながら外人さんは、うっとうしそうに私の手を払った。けっこう傷ついた。

(そんなの・・・私が聞きたいよ。でも、なんか、放っておけないっていうか・・・)
「筒でも持たせるつもりか」
「・・・つつ?」
「お前に俺が騙せるとは思えないがな」
「つつ・・・騙す・・・あ!美人局の事??変な言葉知ってるなぁ・・・」
(でもなんか違う気がするけど・・・要するに、悪意があるんじゃないかって疑われてるって事だよね。確かに疑われてもしょうがないんだけど・・・どうやったら証明できるのかな・・・)
「まぁ、いい」
「へ?」
「そんなに親切がしたいなら受けてやる」
「あ、ありがとうございます・・・?」
「ついでに明日デジカメを買うのに付き合え」
「は、はい!」
外人さんの気が変わる前に移動しなければと私は駅へと急いだ。
地下鉄に乗ると日本の電車のダイヤの正確さについて熱く語られ、外人さんの名前を聞いたのは、家に着く直前の事だった。










(学級閉鎖・・・)
清墨さんのお風呂上がりの姿は衝撃的だった。
水も滴るいい男であることに疑い様はないと思うのだが、学級閉鎖Tシャツがその色気を見事に払拭してくれている。
(絵に描いたような外人さんだ・・・ほんとにこんなTシャツ着てる人居たんだ・・・)
唖然としていると怪訝そうな顔をされた。

「お、おかえりなさいスッキリできました??」
「せまい。腕をぶつけた」
「すみません・・・学生用のワンルームなもので・・・あ!お水飲みます??」
なんとかTシャツから意識を反らそうと(気を抜くと笑ってしまいそうだ)私は勢いよく立ち上がった。
しかし膝の上にバックを置いていたのを忘れて立ち上がった私は見事に中身をぶちまけた。
「・・・間抜け」
呆れたように言いながらも足元に転がったボールペンを拾ってくれた清墨さんは優しい顔をしていて、どきりとしてしまった。
(うーわー今のはズルいよこのイケメンめ・・・)
私は動揺を隠すように手早く荷物を集めると、冷蔵庫へと走った。




(はーなんかすごい1日だった・・・)
ベッドに入った私(清墨さんに譲ろうとしたら断固拒否された。確かに他人のベッドは気持ち悪いかも)は清墨さんのことを考えていた。
(ほんと余計なお世話、だよね)
自分がこんなにおせっかいな人間だとは知らなかった。
でも――他人に興味はないと言うように常に平静を崩さない清墨さんの目の奥に、ほんの少し、寂しさが見えたような気がして。
自分よりひとまわりもふたまわりも大きな背中なのに、目を離したら居なくなってしまいそうで。

(笑顔が、見たいな)
なぜだか私はまだ見ぬ彼の笑顔に、焦がれてしまったのだ。

 
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