「いらっしゃ・・・」
「ちょ、ま、閉めないで佐絵ちゃん!」
「いらっしゃらないでください変人様」
「何これデジャヴ!?デジャヴなの!?」
危惧していた事は現実となり、すっかり常連と化してしまった黒澤をしぶしぶいつもの席へ通した。
(いつの間にか店長とも仲良くなっちゃってるんだもん・・・ずるいよなぁほんと。なんか外堀埋められて、どんどん私が悪者に・・・)
「看板娘には、可愛い制服を着せるべきですよ!」
「まぁ俺も制服は嫌いじゃないけど。そういう店じゃないんだよな〜」
「佐絵ちゃんに不満があるとでも!?」
「そういう意味じゃないよ。良く働いてくれるし元気だし。最高の看板娘だと思ってるよ」
「だったら!・・・いや、でもこれ以上佐絵ちゃんの魅力が増しちゃったら俺はどうしたら・・・痛っ!!」
「店長!相手にしなくていいですから!!マルゲリータお願いします」
「はいはい。トレイは大切にね」
(もー。まだ制服諦めてなかったの!?店長に直談判とか信じらんない!!)
あれからバイトのたびに黒澤は現れる。(何故シフトがバレているかは謎である)
まれに来ない時も、外に出たのを見計らったように電話がかかってくる。
おかげで私は不審者には怯えずに済んでいるのだけど、やっぱり一番恐ろしいのは黒澤だと思う。
「今日もマスターのパスタは絶品だったー!」
「・・・うちそんなに安くないのに。こんなしょっちゅう来て平気なワケ」
「一応バイトしてるし、節約とか結構得意だからそんなに困ってないよ?」
「・・・ふぅん」
「それでね佐絵ちゃんちょっと話は戻るんだけど」
「戻らなくていいよ嫌な予感がするから」
「これ以上佐絵ちゃんが可愛くなっちゃうと俺心配でたまらないから、制服の件は写真だけ撮るって事でどうかな?」
「相変わらず華麗なスルーですね。私が了承するとでも?」
「大丈夫!誰にも見せないから!俺だけの宝物にするから!!」
そういう問題じゃないんですが!「知り合いにそういう服たくさん持ってる人が居てさ〜」
「なにその交友関係!絶対関わりたくない!!」
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