高校入試が終わり、第一希望の学校に無事合格し、涙の卒業式もあっという間に終わって


春休みに入った。


すでにもう一週間がたち、ある目的のために、高校から出た課題はほとんど終わらせてしまった。

「…やっと出来る……」

そういいながら私は押し入れをガサガサと探り30分。
やっと目的の物がでてきた。

私の目的は、そう



−−−−ドラクエをやること。



私立受験20日前からずっと封印してきた愛しのドラクエをやっと、やっと出来るようになったのだ。


「何からやろうかなー。」

あらゆるゲーム機をガサガサと取り出していく。

「やっぱ初心に帰って"T"にしようかなー、でもなー、"\"もやりたいし……間をとって"X"でもいいなぁ…」

あれもこれもやりたくなってしまってどうしようもない自分
うーむ、ホントにどうしようかなぁ…

「よし、目をつぶって掴んだのにしよう」
そういって一人でうなづいた。
どのシリーズの箱もをきっちりと並べていれてある、通称ドラクエBOXを開き、ゆっくりと目をつぶった。

「どれがでるかな、どれがでるかなーちゃららったちゃららら!」

某番組のなんだかわからない歌を歌いきったところですぐ引き上げた。

ぱっと目を開くとそれは青い髪の主人公に、ピンク色の髪のムキムキのお兄さん、色素の薄い髪のお姉さん、眼鏡の少年、不敵に笑うお兄さん、おてんばっぽい女の子の姿が目の前にあった……言わずもがなと思うがそれは"Y"だった。

「おぉっ!"Y"大穴があったじゃないですかー」

スーファミ版をとったが、慎重に使わないとデータが吹っ飛んでしまうため、リメイク版のほうに取り替えニヤニヤしながらソフトをゲーム機にセットして電源をいれた





その瞬間。







いきなり窓が開け放され風が吹き抜けた。
眼が開けないぐらいの強風。

耐え切れず眼をつぶったら、すっと風は止んだ。

眼を開けば、ものすごいでたらめな空間にいた。
例えるならばド●えもんのタイムマシンが出て来るシーンの背景みたいなあんな感じ。

そこから二、三歩進むと今度は急に地面がなくなり、真っ逆さまに落ちていく自分。



「なんですかこの不思議空間はぁぁ…!!!」















ガツーーン!


おでこに激痛が走る、「いっひゃあ!!!」なんて奇声のあとごろごろと転げまわる。
涙が出るという鼻水まで出てきてしまうんじゃないかってくらい


「……大丈夫か…?」


声をかけられて、顔をあげるとさらにまた声の主の顎に頭をぶつける。


「「…っ…」」

痛がってる場合じゃない

「す、すいません…!!」

謝ってる場合でもない。





ここはどこ?




華やかな色の絨毯なんて私の部屋にはないし、いかにも高そうな玉座なんて見たこともない。
美しい白い壁も装飾も初めてだと思うのだが。

でもみたことあるような気がする。



「えっと、ホントに大丈夫か?」



しまった、部屋に見とれてしまって心配してくれてる声の主をわすれていました。



「あ、大丈夫です!」
そういって今度は頭をぶつけることなく顔をあげた。



………思いもよらない人物が目の前にいて思わず目を疑った



「……レックさん?」



間違いない、と思う。
あの大好きなゲームの青い髪の主人公にしかみえません。


「………俺は確かに#レック2#だけど」


冷静に名前を答える彼。
それに反比例するように混乱してきた。
さらに生のイケメンY主もとい、#name2#さんの顔が近くにあってさらにパニック。

何故私はここにいるの?何故貴方がいるんですか?……聞きたくても聞き返されそうです。


「………空から落ちてきたよな?」


問い掛けられた質問。
そういうことになるんでしょうか。


「……はい。」


「…でももう、夢の世界はないし…落ちてくるなんて。」

ぶつぶつと考えこんでいる。


そして彼はもう一度目線を私のほうに向け口をゆっくり開いた


「………君の名前は?」


一呼吸あけて僕は答えた。



「私の名前は…ミサトです」

声は震えていた。でも目だけははなさなかった

「……ミサト」

確認するように私の名前を呟いた彼は
少しだけ嬉しそうな顔をした気がした。
気がしただけかもしれない。

「とにかく、ミサトは俺の知らない世界から来たということだよな?」

さすが、様々な体験をしてきた王子様。
言わずも何となくわかってくれました。
彼の問いに頷きで答える。


「………君に聞きたいことができた。ついてきてくれない?…怖がらなくていいから」

手をそっととられる。
そんな一つの仕草にでさえ見とれてしまう。
まさかレックさんと本当に話せる日が来るなんて思いもよらなかった。
だけど、今そこで呼吸をして動いている。紛れも無く生きている。

この状況は異常。
それは日本の夏にオーロラが現れるぐらいにです。


「…はい。」


憧れつづけた世界に私がいるってことを未だ信じられないのですが。



とにかく私はレックさんについていくことにしました。


ここはどこ?
(ゆめをみているのかしら)






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