□ 応えたい想い □
真っ白な壁に囲まれた部屋。
静かとも、騒がしいとも言えるその部屋で、俺は目の前に横たわる男の手を握っていた。
「今日はさ、居眠りして先生に課題大量に出されちまった」
安らかな表情を浮かべている彼を見つめ、今日の失敗を笑いながら伝える。
彼は呆れもせず笑いもせず、ただ静かに息を溢して目を伏せていた。
「ま、絶対終わらねぇから真っ白なまま出してやるんだ」
怒鳴られるの覚悟だけどな。
そう続けて言い、先生の怒り顔を想像しては可笑しくて思わず噴き出す。
──…角と牙まで生えてんの想像しちまった。
「また同じの出されそうだったら、今度は手伝ってくれよ?勉強とかめんどくせーし」
俺よりお前のが頭良い、と勝手に頼んでから俺は手を離して立ち上がる。
部屋が少し赤く染まってきていて、帰らなくてはいけない時間になったから。
何も言わない彼の前髪を退けて、そこへ軽く口付ける。
──…誰も見てないから、良いだろ。
「…また明日、遊びに来るな」
建物を出てから、俺は最近の習慣になったように涙を溢した。
嫌がらせで階段から突き落とされた俺を庇って、彼は落ちた。
『…かいちょ…大、丈夫…?』
『ッ俺は大丈夫だけど、お前…血…!』
『はは…良か…ッ、痛…あー…失敗…した……な…』
途切れ途切れに言いながら、いつもみたいにへらりと緩い笑みを浮かべたのを最後に、彼は意識を手放した。
気が動転した俺は、頭から血を流す彼を抱き締めたままただ茫然としていた。
周りが騒がしいのも、救急車を呼ぶ声も全て聞こえなくなって。
翌日、入院することになった彼を見舞いに行くと、彼は頭と右足に包帯を巻いて、酸素マスクを付けた姿でベッドに寝ていた。
あの日から、一年。
もう彼は、俺を会長と呼んでくれないだろう。
『会長、もう仕事終わりにして遊びに行こうよー』
『つまんないよー会長ぉ…』
『会長』
会長という肩書きは嫌いだったけど、彼が呼ぶ、会長という甘い呼び方は好きだった。
何で、こうなったんだろう。
もう一度、言って欲しかった。そしたら、今度はちゃんと頷いたのに。
『会長、好きだよ』
「──…俺もだ」
彼に答えたい。ちゃんと伝えたい。だから、
「…早く、起きろよ…」
きっと明日は起きてくれる。
そう、微かな希望を抱いて、俺は病院を後にした。
*……‥‥
平凡が生徒会長なんて認めない!な、美形生徒会役員親衛隊に嫌がらせされてた嫌われ平凡会長と会長大好きーな一途チャラ男会計。
会計が目覚めないまま学校を卒業して、生徒会長という肩書きがなくなったのとそれだけ長い時間、会計が目覚めないことに悲しくなる会長とか…
…解説っていうものは難しいですね…上手く説明できない(´・ω・`)
…まぁそんな感じです(諦めた)
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