必然、親友 (2/2)


ユオの顔がゆっくり近付いてくるのを俺はただ見つめ返して、何事かと体は動かないままに頭では“やっぱり綺麗な目だな”なんて考えてる。

深紅の瞳に俺が写るのがハッキリと見える程ユオの顔が間近に迫った時。
ちゅ、と小さなリップ音が聞こえて、それは離れた。

「ッ、」

触れた柔らかな感触に、まるで金縛りが解けたようにハッとして、慌てて頬を押さえる。

「…前にも言っただろ、無防備過ぎ。やっぱりそうやって男誘ってんの?」

「なッ!誘ってねぇって言ってんだろ!」

以前言われた台詞。俺は羞恥やら怒りやらで顔が一気に熱くなって、それを誤魔化すように吠えて反論する。
だけどユオは全く気にしないように、俺の髪を撫でて可笑しそうに笑った。

──…また、からかわれた。

無意識に拗ねたように唇を尖らせてしまっていたのか、ユオに唇を摘ままれて更に笑われる。

「む、」

「ったく、それが可愛いんだよ」

何でそうなる!と怒鳴りそうになりつつも、本当はこんなやり取りが楽しくて。俺も釣られて笑う。




あんな短い間だけの出会いでも、こんなに胸に残って、今もこうして楽しいのは。
きっと、ユオを大切な友達だと思っているから。

そして今日、こうして再会出来たのは、必然だったと思う。
親友と会うのに、偶然、奇跡、なんて何だか寂しいから。


──…またこうして、偶然のような必然にユオと会えたら。

そう願いながら、俺はユオと一晩、遊び尽くした。


 ──…e n d


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