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カカシくんと幽霊ちゃん


天井をぐるぐる飛び回って、どうして自分が死んだのかについて考えていたら、いつの間にかお風呂場の壁を通り抜けていたみたいで……。

「きゃーーーーーーーーーー!」

シャワー中のカカシくんをばっちり目撃してしまった。しかも、一瞬だけど確かにカカシくんと目が合った。あーもう!サイアク!

カカシくんっていうのはあたしのルームメイト。正確に言うと、あたしはもう死んでいて幽霊なのだ。だから大家さんはあたしの部屋が空き部屋だと思って、そこにカカシくんが引っ越してきたってわけ。どうして幽霊のあたしがカカシくんだけに視えるのかっていうとカカシくんが写輪眼を持っているから。

で、話は戻るんだけど、カカシくんの素っ裸を見てしまった(でも本当に一瞬だけ!)あたしは顔から火が出そうなぐらい恥ずかしくて、大慌てで壁をすり抜けて元いた部屋の隅っこで小さくなった。

しばらくしてお風呂からあがったカカシくんが部屋に戻ってきた。カカシくんの裸を思い出してしまって心臓が飛びはねる。(幽霊だから心臓なんてないんだけど。)
カカシくんの裸を思い出してドキドキしていたなんて死んでも知られたくなくて(もう死んでるけど。)慌てて頭の中の映像を追い出す。

「カ、カカシくん!湯加減はどうだった!?」
「別に…普通。」

カカシくんはバスタオルでガシガシ頭を拭きながら無愛想に目線だけをあたしに向けた。長めの前髪の隙間から覗く色違いの瞳の鋭さにあたしは金縛りにあったみたいに動けなくなる。(本当は金縛りをする側だけど!)

カカシくんの射ぬくような視線にたじろいでいたら――――。急にカカシくんが口の端を吊り上げてにやりと笑った。

「アンタって覗きが趣味だったの?」
「なっ……!」

冗談だとわかっていても、そんな変態じみた事が趣味だなんて言われて羞恥心が込み上げてくる。一気に顔に熱が集まって言い返そうとしても言葉が出ない。

カカシくんの反応があまりにもクールだったから、事故とはいえ覗いてしまったことがバレていないと思って安心してたのに!カカシくんときたら、わざと意地悪を言ってくるからタチが悪い。

「カ、カカシくんのバカーーーーー!」

あたしはやっとのことで言葉を絞り出して、カカシくんにパンチを繰り出した。カカシくんは涼しい顔でかわしているけど、本当はこれがカカシくんの優しさだって知っている。
だって、透け透けの体じゃ、あたしの拳はカカシくんの体をすり抜けちゃうから。

どうして死んだのか、どうして成仏できないのか、さっぱりわからないあたし。そんなあたしを少しでも人間らしく扱ってくれるカカシくんが好きだ。