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カカシと妊婦さん


なんだか眠れなくてソファで夜遅くまで本を読んでいた。カカシはそんな私の隣に黙って座っている。もう随分とカカシと一緒に過ごしているからか、沈黙ですら心地が良い。どきどき本から顔上げるとその度カカシと目があって、優しく微笑まれる。ふわりとわたしの髪を撫でて満足そうに目を細める。

ふと、時計に目をやると夜は随分と更けていた。幸せだなあと、カカシの肩に頭を預けるとカカシは子供をあやすのと同じようにわたしの頭をポンポンした。慣れた手つきが心地よくてついつい微睡んでしまいそうになる。

「ベッド行く?」

小さな子のようにうつらうつらしてしまったわたしを見てカカシはクスクス笑って言った。大切な宝物を見るような目でわたしを見つめるカカシに本当に幸せだなあ、と思う。
そろそろ寝よう。そう思ってカカシの提案に同意しようとしたら、なんだかちょっぴり違和感を感じてわたしはそろそろか…と思わず苦笑いをした。

「ねえ、カカシ……きたかも。」
「へっ…?」

カカシは目を瞬いて呆気にとられたような顔であたしを見つめている―――ややあって「大丈夫なの?痛くない?」と慌てふためいた。

「もう、カカシってば慌てすぎだよ。もう、3人目なのに。」
「何人だって関係ないよ。」

「新しい命が産まれることに慣れることなんてないよ。」照れくさそうに一気に言い切ったカカシにわたしはクスクス笑ってしまう。

「産むのはカカシじゃないのに。」
「心配なんだよ。お前もお腹の子も。」
「ふふ、ありがとう。」

「きっとこの子も無事に産まれそうな気がする。」にっこり笑ってカカシに言えば「ほら、病院行かないと。」と少し不安そうな顔をした。

「焦らなくてもまだ大丈夫。」

わたしのことを軽々、でもすごく丁寧に横抱きにしたカカシにちょっぴり呆れ笑いをしながら言えば、カカシは「お前には一生敵わないよ。」と困ったように笑って言った。

「最初の子のときはあんなにパニック起こして泣いてのにね。」
「ふふふ、母強しってやつかな。」

でもねカカシ、わたしが強くいられるのはあなたが隣にいてくれるからなんだよ。そう思って腕の中からカカシを見上げると、カカシやっぱり困ったような顔で笑っていた。