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あたしたちは一旦解散してから、約束の時間にスナック木の葉で落ち合った。

いつもよりも気合いを入れてメイクをしたあたしを見て、テンゾウ先輩は「なんか今日、化粧濃くないかい?」と言ってきたけれど、そんなこと無問題!
だって、はたけさんがいるんだもん!

決してはたけさんのことが好きなわけではない……

だけど、ちょっぴり浮かれているのは事実だった。はたけさんを前にすると心臓がぎゅっとなる。でも、それは恋慕ではなく憧れからくるものだ。そうは思っているけれど、いつも余裕たっぷりであたしの事なんて、ちっとも意に返さないはたけさんに対等に扱ってもらいたいという強欲なあたしが顔を出すのだ。

あたしだってちょっとは大人になったと思うんだけどなぁ……





「あらぁ〜!名前ちゃんじゃないのぉ!」

お店に入るとママがカウンター越しに相変わらずのテンションで手を振ってきた。それから目敏く、はたけさんに気が付いてお店の女の子たちに「今日は色男がきたわよ〜」と言って回った。そうしたら、店内の至るところから「カカシさんお久しぶりです〜」とか「カカシさんのこと待ってたんですから〜」とか黄色い声が聞こえてきた。

「……すごいですね。」
「あの人はいつもこうなんだよ。」

はたけさんと酒席を共にした事のないあたしは、彼のモテぶりに思わず舌を巻いた。テンゾウ先輩は、ちょっぴり疲れたような顔でいつもの事だからと苦笑いしている。

「だからカカシ先輩、この店以外は来たがらないんだよね……」

あたしはテンゾウ先輩の言葉に合点がいった。

スナック木の葉のママと5代目火影様は酒宴仲間なのである。それで、公の場で酒を酌み交わすのが憚られる忍たちが気軽に寄り集えるお店として有名なのだ。だからこのお店で働く女の子たちはリップサービスはすれど忍という職業を重々承知しているから余計な詮索はしないでいてくれる。

「名前ちゃ〜ん、呑み過ぎちゃダメよ?」
「分かってますって!いつまで子供じゃないんですよ?」

あたしとママのやりとりをテンゾウ先輩がじと〜っとした目で見ている。殊にお酒に関してあたしはテンゾウ先輩の信頼がないのである。色事と酒は切っても切り離せないと言っても過言ではないのにあたしは滅法、お酒に弱かった。それで、スナック木の葉のママに酒宴の作法を叩き込まれたのだ。酔い潰れる度にテンゾウ先輩におぶられて帰ったのは忘れ去りたい過去である。

「名前、お酒弱いんだ?」
「先輩、名前は下戸なんで飲ませ過ぎないでくださいよ。大変な目に遭うのボクなんですから。」
「テンゾウ先輩の仰るとおりです……」

その節はテンゾウ先輩に頭の上がらないあたしは小さくなって同意した。そんな様子にたけさんは意外とでも言いたげな顔をして、でもどこか面白がるようにあたしの顔を見た。それから、ちょっぴり意地悪そうに方眉を上げて言った。

「ま!今日はオレもいることだし、好きなだけ呑んでちょうだいよ。ちゃんと連れて帰ってあげるからさ。」

あたしは思わず、え!と声を上げてしまって、テンゾウ先輩は「先輩、なんか変態っぽいです。」なんて言っている。

「お前たち一体なにを想像したわけ?」

あたしたちの反応にはたけさんは呆れ顔だ。だけど、あんな…あんな不敵な表情のはたけさんに「連れて帰ってやる」なんて言われたら期待しない方がおかしい。だって妖艷すぎるんだもん!