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サクラは餡蜜を食べながら目を輝かせていた。

「へ〜!名前さんってカカシ先生の後輩だったんですね。」
「そうなの〜!サクラちゃんこそはたけさんの教え子だったとは〜!」

名前とサクラがきゃっきゃとはしゃぐのを横目にお茶を啜る。
サクラはともかく、こんなに笑う名前は見たことがなかった。
オレよりもサクラの方が年齢が近いから、これが彼女の年相応な反応なのかもしれないが……

暗部時代の名前といえば、愛想が無いわけではないが、特筆して愛想が良いわけでもなかった。いつも精悍な顔をして任務を完遂する期待の新人、そんな印象だった。
だから、名前が任務に失敗したと泣き付いてきたときは思っていたよりも自分は彼女に慕われていたという事に驚いた。
それに、感情の起伏が少ないと思っていた後輩が頼ってくれるというのは悪い気はしなかった。

そんな漠然とした独占欲のせいか、火影室を出た後、甘栗甘の新作パフェを食べたいと言い出した名前と、それに同意して、いつもの調子で「先生奢ってくださいよ〜!」と言ったサクラに一度は断ったものの、名前が「え〜、カカシ先生帰っちゃうんですか?」と小首をかしげて唇を尖らせている姿に不覚にもほだされしまったのだ。


「ねえねえ、名前さんやっぱり色事任務って嫌になったりしないですか?」

サクラは餡蜜を食べる手を止めて恐る恐る、けれど真剣に名前を見た。
名前はまっすぐ結んだ唇にパフェスプーンを押し当てて「んー」と少し悩んでから「そうでもないよ。」とだけ言って、またパフェを食べ始めた。それから「あ、でも…」と思い出したように顔を上げて言った。

「やっぱりイケメンがいいよね。」

それを聞いて白玉を喉につまらせそうになっているサクラをよそに名前はさも当然といった顔でパフェを頬張っている。

「ちなみに名前さんは初めて色事任務に出たのはいつですか?」
「今のサクラちゃんの年齢のときかな〜?」

名前の回答に少し複雑そうな顔をしているサクラに「あ〜、でも最初の色任務は失敗しちゃったんだよね。」と名前はおどけてみせた。

「色事任務なんてムリに出る必要ないよ〜、ね?カカシ先生。」

三十路の自分には場違いな、くのいち特有の会話に居心地が悪い気がして話題の矛先が自分に向かぬように息を潜めていたのに平穏は名前によって奪われてしまった。

「ちょっと名前ちゃん、先生はやめてちょうだいってば……」
「え〜、サクラちゃんが良いならあたしだって良いじゃないですか〜」

「だって、あたしはたけさんよりサクラちゃんの方が年齢近いんですよ〜」とほっぺたを膨らませている名前に溜め息が出た。
いつの間にこんな小悪魔になったんだか……


「あ〜あ、名前もサクラぐらいのときははたけさんはたけさんって可愛いかったのにねぇ〜」
「ちょっと!それって今は可愛くないってことですか?」

サクラにばれないようにテーブルの下でオレの足をつんつんと蹴ってくる名前は本当に男をたぶらかすのが上手くなった。
だが、大人をからかうのは良くない。

「色任務失敗したって泣いてたのにねぇ?」
「ちょ!泣いてませんから!それは盛りすぎです!」

余裕綽々な名前をからかってやろうと少しだけ意地悪をすると昔のままの初な反応をする名前にちょっとした優越感を感じていい気になっていると、本領を発揮した名前にまたもほだされて、まんまと奢らされたのは言うまでもない話だった。