まっすぐひねくれる | ナノ
みょうじのスカートは短い。
まあそれくらいの長さの女子はたくさんいるけど。
「移動教室めんどくさいなあ」
「なー」
「ていうか御幸と一緒に移動したくないんだけど」
「そういうこと言う?寝てたお前が悪い」
「お前もな」
肌寒い廊下を歩く。こういうときに限ってみょうじはタイツじゃなく靴下を履いている。
「なんで化学室3階にあるかな、階段キッツイ」
「運動不足だな」
「ほっといて」
「運動しろブタちゃん」
「殴るよ」
「もう殴ってんじゃん……」
肩パンされた。痛くはない。いつものように力の全く入ってないパンチだ。
階段の下には男子数名がいる。こいつら、よく女子のスカートの中覗いてるやつらなんだよなー。
「?、なんで背後に立つの?」
「ん〜何でだと思う?」
「知らん」
「はっはっは」
「なんか気持ち悪いから横に並んで欲しいんだけど」
「これ登ったらな」
「はあ?」
「いいからさっさと登れ、ブタ」
「ブタ!?」
こいつ多分スカートの下普通にパンツだろうし。振り返って男子諸君を見下ろす。他当たれ、バーカ。
「はーあ、俺って本当友達思い」
「御幸に友達なんかいるの?」
「…はあ…」
「?」
「別に何でもねーよブス、こっち見んな」
「さっきから超失礼なんだけど。喧嘩売ってる?」
階段を登りきったみょうじがまだ階段にいる俺の頭にチョップを振り下ろした。いてえ。
「この身長差なら余裕で頭に手が届く」
「ドヤ顔うっぜ」
「……」
「無言でチョップすんな」
俺、一応思春期男子共からお前を守ってやってんだけど。不服だ。