「髪切った？」
「うん」
「結構バッサリいったなあ」
「邪魔だったから切った」
御幸に指摘されて短くなった髪をつまむ。
「髪は女の命なんじゃねーの？」
「私はそこまで大切にしてないけど」
「おいおい」
「似合わない？」
「いや、そうでもない。普通」
「…こういう時は似合うって言えよ」
ちょっと男前だって乙女心がわからないやつはダメなんだぞ。
「どんな頭してたって大して変わんねーよ」
「最低！変わるよ！」
「元が元だからなあ」
「本当に最低なんですけど」
「はっはっは」
「笑って誤魔化すんじゃない」
まあ別にいいし。御幸に似合ってないと思われてたってどうでもいいし。
「俺は長い方が好き」
「御幸の好みなんて聞いてない」
「参考にしろよ」
「嫌だよ」
「まあ短くても別にいいけど」
「結局どっちなの！？」
「顔が可愛ければなんでも……」
「どうしろと！？私にどうしろと！？」
「どうしようもねえわ」
「クソが！！！」
結局どうにもならないんじゃないか。
「まあ、みょうじの髪、いいにおいするしいいと思うけど」
「！？なっ、触っ、！」
「ちょっとくらいいーだろ、ケチ」
「か、軽々しく女の子の髪に触るな！」
「女の子ォ？」
「文句ある！？」
御幸の手を払う。なんで、手を伸ばしてきたときに動けなくなってしまったんだろう。はずかし。
「そんな怒ることかよ？」
「…しばらく私に話しかけないで」
「髪はそこまで大切にしてねえんだろー」
「うるさいな！黙ってろ！」
「ていうかシャンプー変えただろ、お前」
「なんで分かるの！？気持ち悪！」
「はっはっは」
前にも髪、いい匂いって言われたな。そんなに分かるものなのだろうか。深い意味はないけど、今日は念入りにシャンプーをしようと決めた。深い意味はないけど！