まっすぐひねくれる | ナノ
「先輩、こんにちは」
「降谷君だ、こんにちは」
廊下で降谷君とすれちがった。
「おいしそうなの飲んでるね」
「飲むヨーグルトです」
「カルシウムは大事だよね〜」
「…飲みます?」
「えっいいよ!自分で飲みな?え?私物欲しそうな感じになってた?」
「先輩小さいし」
「私女の子だからね!普通かな!」
がしっ、と降谷君の腕を掴む。この人いつも私のサイズ感について言ってくるな。
「あ、」
「えっ」
降谷君が、飲むヨーグルトの箱を握りつぶした。中身が飛び出て、私にかかる。
「目に!目に入った!いたい!」
「せ、せんぱいごめんなさい…」
「白くてドロドロした液体が顔に…あ、これ絵面的に大丈夫かな?」
「先輩たちの持ってた雑誌の中にこんな感じの女の人がいました」
「アウトなやつ!」
「ティッシュ…どうぞ」
「うん…ごめんね、カルシウム無駄にしてしまって」
「僕が力加減を間違えたから……すみません」
「あー、カーディガンにちょっとついちゃった」
「!洗います」
「え、いいよ」
「洗います」
「え、だから大丈夫だって…ちょ、ひっぱらないで脱がさないで」
「洗います」
「これ脱いだらさむいよ!」
「僕の着てください」
「サイズあわないよ!」
「でも汚したの僕だし」
そうだけど、男の子にそこまでさせるのは申し訳ないし。汚れたと言ってもちょっとだし。
「どうぞ」
「あーもういいって言ってるのに何で脱いじゃうかな」
「これ、すぐに洗って返します。それまで僕のでガマンしてください」
「うーん……着るけど」
「サイズあいませんね」
「そうでしょうよ」
「でもなんか僕の、みたいな感じがして可愛いです」
「えっ」
「可愛いです」
「もっ、もー!なんで二回も言うの!はずかしいよ!」


教室に戻ってきた。
「あれ、お前何でカーディガン変わってんの」
「降谷君に白くてドロドロした液体をかけられて、結果彼カーディガンになった」
「エロいことしてきたの?この数分で?」
「天然こわい」
「ていうかデカすぎてスカート履いてねえみてえ」
「うん、でもせっかく貸してくれたし…後輩の厚意を無下にはできない」
「俺の貸してやろーか?」
「いらない」
「……あっそ」