「みょうじ今日体育見学なの?」
「おなかいたくてはなしかけないで」
「死人みたいな顔色だな〜」
「はなしかけないでっつってんだろ」
「生理?」
「デリカシー!」
「はっはっは」
「教室でも一緒にいるのに何でわざわざ絡みに行くんだよテメエ」
「目に入ると絡みたくなるんだよ」
寒い中、動きもせずちいさく座っているみょうじはわりと深刻な腹痛に襲われているらしい。保健室行けよ。
「それにアイツこっち見てるし」
「はあ?ノロケかよ死ね」
「事実だよ、ほら」
「うわ、すっげーひかえめに手振ってる」
「ああいうとこ可愛いよな」
「は?」
「ん?」
「……」
「……」
「……」
「待って、今のなし」
みょうじのこと可愛いとか頭湧いてんじゃねえの、俺。
「マジウゼェ、ほんとウゼェ」
「ちょっと待て倉持」
「普段なんだかんだ言ってんのに結局そういう感じかよ」
「違うって今のはつい」
「無意識ってとこが一番腹立つんだよ!」
自分でもなぜそんなことを思ったのかわからない。あいつを可愛いなんて思ったこと今まであったっけ?