まっすぐひねくれる | ナノ
お父さんと会うの久しぶりだなー。
「ただいまー!」
「おかえり」
「お父さん久しぶり!元気だった?」
「元気だった?じゃない!」
「は?なんで怒ってるの」
「そのいかにも不服だって顔やめなさい」
「はあ?私はお父さんのために先輩と一緒に帰るチャンスを潰したんだよ!もう一生ないかもしれないのに!」
「先輩!?先輩って誰だ!彼氏か!こいつか!」
「んんん!?何それ……あ!これバカップル大会の時の写真…まじで会報にされてるんだ……」
厄介なものを見られた。なぜお父さんがこんなものを……小林さん(運転手)か!?
「何彼氏って、お父さん全然聞いてないんだけど」
「言ってないし」
「しかも堂々といちゃついてんなあオイ!高校生らしく青春か!?」
これは完全に御幸を彼氏だと誤解している。まあそんな写真があれば誤解されるのも当然か……どうする、面倒くさいぞ。
「先輩ってこいつか」
「えっ、ウン…」
「どこで選んだ。顔か」
「まあ」
「どんな奴だ」
「そ、それよりご飯食べようよお父さん…」
「どんな奴だ!」
「もー面倒くさいな!いい奴だよ!」
「ちゃんと向こうにも好かれてるんだろうな?無理やり付き合ってもらってるんじゃないだろうな?」
「どういう意味!?」
「こんなイケメンがお前を選ぶとは思えない」
「実の娘になんつーことを…」
「今度うちに連れて来なさい」
「え?」
「ん?」
「なんで?」
「なんでって、そりゃ娘の彼氏なんだから挨拶くらいするべきだろう」
「いや、いいよ、やめよう」
「なんでだ」
「…わ、別れた!昨日別れたの!」
「じゃあさっき一緒に帰流っつってたのは、誰だ!」
「あーーーー!もうほんと面倒くさいな!お父さんのバーカ!」
「あ!コラ!都合が悪くなったからって逃げるな!」
最初に実は彼氏じゃないと説明すればよかった。だがもう遅い。もう自体は手遅れだ…。