まっすぐひねくれる | ナノ
外は土砂降りの雨。天気予報では80パーセント晴れだったのに。なんで雨降るかなあ。
このまま雨に濡れて行ってしまおうか。
「あ、御幸」
「あ、みょうじ」
黒い傘をさして御幸が通りかかった。これから室内で部活だろうに、なぜ外を歩いているんだろう。まあ別にいいけど。
「おつかれー」
「おー、おつかれ」
手を軽くあげて御幸に挨拶をする。そのまま去っていく御幸を見送る。
はーあ、雨止まないかなあ。
「あ、御幸」
「おう」
御幸が引き返してきて、また通り過ぎていく。雨の中、何をウロウロしているんだろう。あいかわらず意味のわからないやつだな。
と、思っていたらまた御幸が戻ってくる。
「何なのお前」
「は?」
「傘ねえなら言えばいいじゃん」
「はあ」
「つーかいつもなら寄越せっつってくるだろ。何でこういう時はこねえの」
何でキレられなきゃいけないのか。半ギレしている御幸に圧倒されて、目を見開く。こいつ私に傘かしたくてウロウロしてたの?
「貸してくれるならありがたいけど…」
「……」
「いいの?」
「だから、何で今日そんな女子みたいな反応すんだよ」
「えっ、エブリデイ女子なんだけど」
傘を畳んで、渡される。黒くて大きい傘。
なんだ?御幸がやさしい……。おかしい……なんだ?雨だから?
「じゃ、俺部活行くわ」
「うん」
「また明日」
「…あ、うん。傘ありがと」
「おー、気をつけて帰れよ」
「え?うん…」
なんか御幸がやさしいとか変な感じ。