まっすぐひねくれる | ナノ
「滝川・クリス・優先輩」
「ん?クリス先輩がどうした?」
「ど、どんな人ですか」
「どうって……すげーキャッチャーだよ。今は試合出てねーけど」
「ほかには!?」
「面倒見がよくて、視野が広い。あと声が小さい」
「声が小さいのは知ってる」
「で?何でクリス先輩のこと聞いてくんの?」
「好きになっちゃったみたい」
「は?」
「恋!恋してしまいました!」
「お、おう…分かったから落ち着け?」
勢いよく立ち上がって叫ぶと、御幸にいなされた。
「なんかよく分からないけど、ドキドキしてフワフワするの」
「そ、そんな擬音がみょうじの口から出るとは……」
「これが恋ってやつですかね!?」
「知らねーよ」
「クリス先輩と仲良くなりたい!」
「がんばれ。あ、いややっぱがんばるな」
「何で!?」
「クリス先輩にはもうお前みたいな面倒くさい後輩が一匹まとわりついてるから」
「な、何だって……」
「どう考えてもそっちで手一杯だろうよ」
「そんなあ……私よりかわいい?私より胸大きい?」
「はっはっは、胸はみょうじの圧勝だな」


「面倒くさい後輩って沢村のことだろ?」
「聞いてたのかよ」
「確かにみょうじって沢村と似てるよな、ウルセーとことか」
「だよな、犬みてえ」
「つーか、何で沢村が男だって言わなかったんだよ」
「…その方が面白いから?」
「取られたくねーだけじゃねーの?」
「まっさか〜。のちのち沢村が男だと知って憤慨するみょうじが見てえだけだよ」
「性格ワルッ!」